兵庫県姫路市沖の男鹿島。人口わずか27人のこの小さな島に、50年以上続く海の家「中村荘」がある。経営は決して楽ではないが、5カ月間で約1500人が訪れる人気スポットだ。中には1億円を超えるクルーザーで来島する客もいるという。
島のシンボル「中村荘」の歴史
中村荘は、地元で「海のドライブイン」とも呼ばれる。経営者の中村庄助さんは、島の暮らしや海の家の魅力を語る。中村荘には、Z世代に人気のアイドルグループ「エースコレクション」のサインも飾られている。メンバーの一人は島に来られなかったため、最後のサインが入る日を中村さんは楽しみに待っているという。
中村さん自身は、男鹿島の隣にある家島に住んでいる。アマゾンプライムに登録している理由は送料無料だから。配送の遅れも特になく、定期船や自家用船を使うより料金的に得だと話す。島の物価は高いため、日常の買い物は姫路など本島に出かけることも多いという。
観光客増加の背景と注意点
「男鹿島の隣の家島は、ジブリ映画『崖の上のポニョ』の風景に似ていると言われ、外国人や若い観光客が増えています。実際の聖地は広島県福山市鞆の浦らしいですが」と中村さんは語る。ただし、家島も男鹿島も食事処は非常に限られており、「昼食難民、宿泊難民にならないよう注意してほしい」と注意を促す。中村荘は不定休のため、来島前に営業確認が必要だ。また、悪天候時は定期船が運休になるため、晴れた日の訪問を勧めている。
人と人との繋がりを紡ぐ
中村荘では、偶然出会った人々が意気投合し、仲良くなる光景を頻繁に見かけるという。中村さんはそうした光景を見るたびに嬉しくなるそうだ。「経営的には苦しくても、中村荘を続ける理由がそこにある」と筆者は感じた。資本主義社会で失われがちな「目に見えないけれど確かに存在する何か」が、この小さな島には残っているという。
「男鹿島には都会とは全然違う“別世界”が広がっています。もしよければ自分の目で確かめていただけたら嬉しいです」と中村さんは語る。
男鹿島へは、兵庫県姫路港から1日3便のフェリーが運航している。夏空の広がる気持ちのいい日に、ぶらりと立ち寄ってみてはいかがだろうか。



