今年のはしか感染者500人超、訪日外国人がウイルス持ち込みか…都がデジタルシステムで抑え込み
はしか感染者500人超、訪日外国人がウイルス持ち込みか

今年に入り、麻疹(はしか)の感染者数が500人を超え、2019年(744人)以来の高水準となっている。東京都だけで全体の半数を占めており、都は新型コロナウイルス禍の教訓を生かした医療情報のデジタル化を武器に、感染拡大の抑制を図っている。

都のデジタルシステム「K-net」が活躍

東京都が活用する感染症情報共有システム「K-net(ケーネット)」は、都内31の保健所を結ぶ情報ネットワークだ。感染者の検査結果を一覧表示し、滞在先や時間を一目で確認できる。これにより、感染経路を特定する疫学調査が迅速化された。コロナ禍ではファクスや電話での情報共有に時間を要し、保健所が機能不全に陥るケースもあったが、K-netによって連携が大幅に改善された。

都の西塚至・感染症対策調整担当部長は「コロナ禍では連絡だけで何日もかかったが、一気に共有できる」と効果を実感している。特に旅客機内での感染事例などで威力を発揮しており、早期の対応が可能となった。

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訪日外国人がウイルス持ち込みか、若年層で感染拡大

7月8日時点の感染者547人のうち、都内は264人。都の遺伝子型調査の結果、訪日外国人らがウイルスを持ち込んだとみられることが判明した。感染者の9割が30歳代以下で、症状が軽い若者が外出して感染を広げる構図は、コロナ禍でも繰り返されたパターンと一致する。

一方、感染者の半数超はワクチンの接種歴が確認できていない。SNS上では「ビタミンをとればうつらない」など根拠のない情報も飛び交っており、都内のクリニック院長は「錯綜する情報が影響を与えていると感じる」と指摘する。

ワクチン緊急接種と検体輸送の効率化

感染抑制の切り札として、都はワクチンの緊急接種事業を急ピッチで進めている。K-netは感染者と接触した人の早期特定に貢献し、72時間以内の接種で発症予防効果が期待できる。また、検体の輸送にも専用のバイク便網を整備し、以前は職員が担っていた業務を効率化した。新宿区保健所の高橋千香・保健予防課長は「負担が軽減された」と感謝する。

小康状態も、専門家は評価

都内ではピーク時に週57人の感染が確認されたが、現在は小康状態が続いている。都に感染症対策を助言する聖マリアンナ医科大の賀来満夫特任教授(感染制御学)は「新たなパンデミック(大流行)にも対応できる環境が構築されつつある」と都の取り組みを評価する。

麻疹は空気感染で広がり、感染力が極めて強い。主な症状はせきや高熱、発疹で、1000人に1人が死亡するとされる。流産や早産を起こすこともあり、注意が必要だ。

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