中央大学経済学部の中村千尋准教授は2026年9月16日、中央大学と読売調査研究機構が共催したオンラインセミナーで「包摂と排除を考える-フランスの移民政策を事例として-」と題して講演した後、トークセッションに臨み、移民を受け入れた後に社会統合を進めることの難しさや、フランスの移民政策から得られる教訓などについて、受け入れ国の特殊性も踏まえながら見解を述べました。
極右躍進の背景に格差問題
トークセッションで中村氏は、フランスで右派政党が勢力を伸ばしている背景について、格差の問題が関わっているとの考えを示しました。1970年代のオイルショック以降、産業構造の変化で工場閉鎖や海外移転が相次ぎ、失業者が増加。新たな産業が根付かない中、人口流出と過疎化が進んだ地域で「自分は取り残されている」と感じる人々が既成政党に期待できなくなり、極右政党を支持するようになったと説明しました。
歴史的に見た移民受け入れの必然性
移民を受け入れない選択肢が当時あり得たかとの問いに対し、中村氏は「現実的にはあり得なかった」と述べました。19世紀から近隣諸国からの移民流入が見られ、自発的・個人的な移民が主流だったと指摘。労働市場を閉ざしていたら、第1次大戦後の復興と経済発展は成し遂げられなかったか、もっと時間がかかっただろうとの見解を示しました。
日本への示唆
20世紀前半のフランスと21世紀の日本を比較し、中村氏は「国内では担い手のいない職種分野で移民や外国人の受け入れが拡大している状況は非常に似ている」と指摘。その上で、住宅などの生活環境の整備が不十分なまま受け入れを進めると、外国人の不満や地域住民の理解不足につながるとし、政府、自治体、企業、地域が連携し、長期的なビジョンを持って進める必要性を強調しました。
フランスの移民政策の特殊性については、家族移民の受け入れを早い時期から想定していたことを挙げ、「家族は離れ離れになるべきではないという考えが政策に反映されてきたことは、フランスの特徴」と述べました。