今年も猛暑が予想される日本。熱中症といえば脳へのダメージが注目されがちだが、実は肝臓や腎臓も深刻な影響を受ける。立川パークスクリニック院長の久住英二医師は、熱中症の回復後も注意が必要だと警鐘を鳴らす。
熱中症が肝臓に与える3つのダメージ
肝臓はアルコール分解だけでなく、体内の解毒やエネルギー代謝を担う巨大な化学工場だ。しかし、この臓器は熱に非常に弱い。深部体温が上昇すると、肝臓は早い段階からダメージを受け始める。具体的には以下の3つの問題が生じる。
1. 熱による肝細胞の変性
細胞を構成するタンパク質は熱で変性する。深部体温が40℃を超えると肝細胞も変性し、機能を失う。
2. 脱水と再灌流による障害
暑さで汗をかくと血液が皮膚に集中し、肝臓や腸への血流が減少する。これにより肝臓は一時的な脱水・酸欠状態に陥る。さらに、涼しい場所で急に体温が下がると、血液が一気に肝臓に流れ込み、活性酸素による酸化ストレスで肝細胞が損傷する(虚血再灌流障害)。
3. 腸の毒素による炎症
熱中症で腸のバリア機能が低下すると、腸内細菌由来の毒素が血液中に漏れ出し、門脈を通じて肝臓に流れ込む。これが肝臓で炎症を引き起こし、肝機能を著しく低下させる。
症状は回復後2~3日で現れることも
久住医師は「炎天下での活動後、体を冷やして回復しても安心してはいけない」と強調する。特に、肝臓へのダメージは遅れて現れることがある。細菌毒素による影響は2~3日のタイムラグがあり、熱中症で救急搬送された直後の血液検査では肝機能の数値(ALTやAST)が正常な場合も少なくない。
したがって、熱中症から回復した後も、少なくとも2~3日は安静を保ち、アルコールの摂取は避けるべきだ。肝臓にさらなる負担をかける恐れがある。
腎臓への影響も軽視できない
熱中症は腎臓にもダメージを与える。脱水による腎血流の低下や、筋肉の融解(横紋筋融解症)によって腎臓が障害を受け、急性腎障害を引き起こす可能性がある。特に高齢者や基礎疾患を持つ人は注意が必要だ。
熱中症の予防と早期対応が肝要だが、万が一発症した場合は、回復後も油断せず、体調の変化に気を配ることが重要である。



