今年も猛暑が予想される日本。熱中症は脳へのダメージだけでなく、肝臓や腎臓にも深刻な影響を及ぼすことが、立川パークスクリニック院長の久住英二氏によって指摘されている。熱中症による腎臓のダメージは一過性ではなく、一度傷ついた腎臓は元の状態に戻らないため、腎機能が低下したままの状態が続く。急性腎障害を起こすと、将来的に慢性腎臓病(CKD)になるリスクが高まり、最悪の場合、人工透析が必要になる可能性もある。
熱中症が腎臓・肝臓に与える影響
熱中症による体温上昇や脱水は、腎臓の血流を減少させ、腎臓の細胞に直接的なダメージを与える。肝臓も同様に、熱ストレスや酸化ストレスによって障害を受けやすくなる。久住氏は「一度でも激しい熱中症で急性腎障害を起こすと、将来的に慢性腎臓病になるリスクが高まります」と警告する。
夏のNG行動:スポーツドリンクのガブ飲み
熱中症予防として多くの人が頼るスポーツドリンクだが、飲み過ぎや誤った飲み方は肝臓や腎臓にダメージを与える。多くのスポーツドリンクには果糖(フルクトース)が含まれており、脱水状態で一気に飲むと炎症や酸化ストレスが生じ、腎機能を低下させることがアメリカの研究で示されている。また、果糖は脂肪肝を悪化させ、肝障害も進行させる。
水分補給には、果糖を含まない経口補水液、適度な塩分(0.1~0.2%)を含んだ水やお茶が適している。ただし、経口補水液には塩分が多く含まれているため、高血圧の人や降圧薬を服用している人は医師に確認が必要。血圧に問題がない人でも、飲み過ぎは塩分過多を招くため、経口補水液だけに頼るのは避けるべきだ。
薬の服用にも注意
月経痛や頭痛で服用する痛み止め(NSAIDs)は、腎臓の血流を低下させる恐れがある。また、アレルギーの薬(抗ヒスタミン薬)は汗を出にくくし、体温調節を妨げる作用がある。これらの薬を服用する際は、普段以上の水分摂取が必要となる。
回復後2~3日は特に注意
熱中症から回復した後も、2~3日は臓器へのダメージが続く可能性がある。体温が下がっても、腎臓や肝臓の機能低下が遅れて現れることがあるため、注意が必要だ。十分な休息と水分補給を心がけ、異常を感じたら早めに医療機関を受診することが重要である。



