熱中症の本当のリスク:脳だけではない臓器ダメージ
今年も猛暑が予想される日本。熱中症といえば脳への影響が注目されがちだが、実は肝臓や腎臓にも重大なダメージを及ぼすことが、医療現場から警告されている。立川パークスクリニック院長の久住英二医師は、熱中症で倒れた人の回復後も注意が必要だと指摘する。
肝臓の状態は「Dダイマー」で推測可能
医療機関では、必要に応じて血管内で血液が固まっているかを示す「Dダイマー」という指標をチェックし、2~3日後の肝臓の状態を推測する。しかし、病院に行かなければ肝臓の状態はわからない。久住医師は「周囲の人が熱中症で倒れた場合、回復したように見えても数日間は無理をさせないこと、熱中症のあと数日して体調が悪化したらすぐに医療機関を受診すること」の2点を覚えておくよう呼びかけている。
腎臓を襲う3つのメカニズム
肝臓と並んで熱中症でダメージを受けやすいのが腎臓だ。腎臓は体内の老廃物を濾過し、水分バランスを整える“24時間休まず働く高性能な浄水フィルター”のようなもの。大人では毎日ドラム缶1本分(約200リットル)もの血液を濾過しているが、酷暑が続くとこのフィルターにダメージが生じる。そのメカニズムは大きく3つある。
脱水によるダメージ
大量の汗をかいて脱水状態になると、体を巡る血液の絶対量が減少する。すると体は血圧を維持しようとして昇圧ホルモンを分泌し、腎臓の血管を収縮させる。これにより尿を作ることが難しくなる。熱中症になると尿が出にくくなるのはこのためだ。さらに、この状態が長引くと腎臓自身に血液が届かなくなり、酸欠で細胞が次々と壊死し、腎機能が低下する。
結晶化した尿の成分によるダメージ
体内の水分が極端に減ると、尿は濃縮されてドロドロになる。すると本来尿に溶けている尿酸などが結晶化し、腎臓の尿細管を傷つける。
筋細胞破壊による老廃物ダメージ
猛暑下で激しい運動(サッカーやランニングなど)をすると、筋肉の細胞が破壊される。壊れた筋肉の成分は血液に乗って腎臓に届き、フィルターを詰まらせる。さらに、熱中症の影響で筋細胞が死ぬ横紋筋融解症になれば、フィルターの目詰まりが大規模に起こり、腎機能は一気に低下する。
一度でも人工透析を招く危険性
これらのダメージが重なると、最悪の場合、一時的または永続的に人工透析が必要となることもある。熱中症は軽視せず、適切な水分補給と休息、そして回復後も数日間は体調管理を徹底することが重要だ。



