高額療養費制度の負担増、影響注視を 産経新聞社説
高額療養費制度の負担増、影響注視を

医療費が高額になった際に患者負担を抑える高額療養費制度を巡り、自己負担の月額上限が8月から引き上げられた。上限を超える部分は公的医療保険から支給される。今回と来年8月の2段階で行われ、引き上げ幅は所得に応じて4~38%増となる。大きな負担増といえるだろう。

制度変更の影響を注視せよ

引き上げにより患者が必要な治療を控えたり、中断したりすることのないよう、厚生労働省は制度変更の影響を注視しなければならない。患者の受診行動にどのような変化があったか調査し、公表してもらいたい。

公的医療保険の役割は、思わぬケガや大病をしたときなどに費用の心配なく受診できるようにすることだ。「医療保険のセーフティーネット」と呼ばれる同制度の見直しにより、本来の役割が損なわれては本末転倒である。

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引き上げの目的と経緯

引き上げの目的は、現役世代の保険料軽減だ。当初、令和7年度予算案に盛り込まれたが、がんの患者会などから強い反発があり凍結された。その後、患者会も交えて検討が行われ、制度変更に至った。負担増は当初案に比べれば抑えられた。

これまでも直近12カ月に月額上限に3回達した場合、4回目以降は上限額を低くする仕組みがあった。当初の改革案では、この額も引き上げる予定だったが、据え置いた。また、新たに自己負担に年間の上限額を設けた。これまでは、自己負担が月額上限にわずかに届かない月が続くと、制度の対象にならず、年間の負担が高額になってしまうケースがあった。妥当な対応である。

利用しやすい仕組みへ

重要なのは、これらの配慮が確実に行き届くようにすることだ。分かりやすく、利用しやすい仕組みにしていくことが欠かせない。

新たに設けられた年間上限は、患者がいったん窓口で費用を払い、1年間の自己負担額が上限を超えた場合、申請して超過分の払い戻しを受けるのが原則である。ただ、長期療養を続ける患者や高齢者にとっては、手続きや立て替えは容易ではなかろう。年間の上限を超えた患者には、加入する健康保険の担当者が確実に通知して還付申請を促してほしい。厚労省は新たに設けた年間上限について、周知を徹底すべきである。

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