気象庁は4月、最高気温40度以上となる日を「酷暑日」と命名した。今年の夏も全国的に厳しい暑さが続く中、睡眠コンサルティングを手掛けるブレインスリープ(東京都千代田区)は、成長期の子どもの睡眠の質を高めるための提言を進めている。
子どもの脳は睡眠中に掃除されている
子どもの脳は3歳ごろまでに大人の約90%の大きさに達し、12歳で大人と同じになる。成人の脳が必要な回路だけを使うのに対し、子どもの脳はあらゆる情報を全力で処理するため、その活動量は成人の2倍以上に上る。この代謝によって生じる老廃物を除去する「グリンパティックシステム」と呼ばれる脳内の掃除システムが、睡眠中に活発化することが分かっている。
さらに、成長ホルモンの約7割は睡眠中、特に眠り始めの90分間に分泌される。この時間帯に深い睡眠をとることが重要だ。
室温だけでは不十分な理由
熱帯夜が続くと、夜間熱中症を防ぐためにエアコンを一晩中つけっぱなしにするのが一般的になりつつある。しかし、室温を適切に保つだけでは十分とはいえない。鍵となるのは「寝床内環境」だ。
寝床内環境の最適な数値は、温度が33±1度、湿度が50±5%とされる。室温が適切でも、寝床内環境が整っていなければ深部体温が下がらず、寝苦しさから十分な睡眠が得られない。
子どもの体は熱をこもりやすい
子どもの体は体重あたりの体表面積が広く、熱しやすく冷めやすいという特徴がある。さらに汗腺の機能が未発達な段階では体内に熱がこもりやすく、深部体温が上昇しやすいことも指摘されている。
そのため、子どもの睡眠の質を向上させるには、昼間にフルスロットルで働いている頭を冷やし、放熱しやすい睡眠環境を作ることが重要だ。
専門家「頭と体を冷やすことが重要」
米スタンフォード大睡眠生体リズム研究所所長で、同大医学部精神科教授の西野精治氏は「子どもの睡眠の質を向上させるには、頭と体を冷やすことが重要だ。体温が下がると、深い睡眠が促進される。寝る前にリラックスできる環境を整え、心と体を落ち着かせることで、良質な睡眠が得られ、成長や学習にも良い影響を与える」と話している。
こうした観点から、ポリエチレン素材で9割以上が空気層の通気性に優れた枕も開発・販売されている。
日本人の睡眠時間は最短水準
日本人の平均睡眠時間は、世界の先進国の中で最も短い水準にある。ブレインスリープが今年1月に全国の1万人を対象に行った調査では、平均睡眠時間は6時間41分で、コロナ禍以降に緩やかな増加傾向にあった睡眠時間が減少に転じたことが分かった。



