滋賀県高島市出身で、婦人アパレルや貿易などを手がける「エスケー」(京都市)社長の木下悟さん(78)が、同市の社会福祉法人「たかしま会」に介護用自動車を贈呈した。高校時代、交通事故に遭って友人を亡くし、自身も車いすの生活を強いられた経験から「力になりたい」と思い立った。「2台、3台と寄贈できるよう努めたい」と意気込んでいる。
「マキちゃん1号」と命名
車は木下さんが19歳までを過ごした故郷のマキノ町にちなんで「マキちゃん1号」と命名した。
高校1年のとき、交通事故に遭った。友人と自転車で登校中にトラックにはねられ、友人1人を含む3人が死亡。木下さんも頭や脚などを複雑骨折し、意識不明の重体に陥った。木下さんや友人に非のない事故だった。この経験が「人生の転機」になった。
木下さんは意識を取り戻すことができたが、4回の大きな手術を経て、1か月ほど、車いす生活を経験した。苦しく不自由だった。「自由に動きたいのに動けない。行きたいところに行けない。タクシーに乗るにも抱えられて運ばれ乗った」
「2人分の人生を歩もう」
1984年、36歳で現在と同じ業種の会社勤務を経て、独立。その後も事業を広げた。根底にあったのは「友人の人生も背負って2人分の人生を歩もうと思った」との思いだ。「ここまで悔いなき人生を歩めた」と言い、感謝の思いを古里に還元したいと思いついたのが、かつて自身も利用した車いすを使い、生活する人も乗れる車両の寄贈だった。高島市は県内でも高齢者が多いエリア。車いす利用者も多い。「車いす利用者の喜びの一助になればいい」と話す。
13日、同市マキノ町のたかしま会の施設で寄贈式が行われた。木下さんは「生まれ育った地に恩返しをしたい」とあいさつ。同会の谷本修一理事長は「マキちゃん号で走行して地域の方の認知度も高くしたい。安全運転をしながら活用する」と話していた。
車両の活用と今後の展望
寄贈した車は定員8人で、車いすの人も1人乗車できる。同会は約180人の利用者がおり、谷本理事長は「利用者の送迎や地域の社会福祉活動に活用する」と話す。
マキちゃん号の寄贈の要望のある施設は高島市社会福祉協議会へ相談する。