ドナルド・トランプ米大統領は21日、化学肥料の原料となるカリ化合物をベラルーシから大量に輸入する「大規模なディール(取引)」を進めていると発表した。塩化カリウムの調達先を主要供給国だった隣国カナダからロシアの同盟国ベラルーシに切り替える動きだ。
カナダとの貿易戦争が背景か
トランプ氏の発表は、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ政権による反体制派の弾圧や、ロシアによるウクライナ侵攻への支援が続く中、米政権がベラルーシとの外交的対話を模索する中で行われた。トランプ氏は同時に、長年の同盟国であり最大の貿易相手国でもあるカナダとの間で貿易戦争を激化させている。
トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に、「アメリカ合衆国は、ベラルーシからのカリ化合物の購入に関する大規模なディールに取り組んでいる」と投稿。「価格は現在カナダに支払っている額よりも大幅に安くなり、米国の農家や牧場主にとって非常に素晴らしいニュースとなる」と主張した。
米国の輸入依存と価格高騰
米国は肥料の原料となるカリ化合物の大部分を輸入に依存しているが、2022年にロシアがウクライナに全面侵攻を開始して以来、カリ化合物の価格は急騰している。
米地質調査所(USGS)によると、2024年時点で米国のカリ化合物輸入量の79%をカナダが、11%をロシアが、4%をベラルーシが占めていた。
ベラルーシとの関係改善と懸念
第2次トランプ政権下において、米国は孤立するベラルーシとの関係改善に向けて水面下で動いている。先週には、ベラルーシ側が政治犯25人を釈放したことを受け、米国はベラルーシ企業2社に対する制裁を解除した。
だが、ベラルーシでは1994年に就任したルカシェンコ大統領が2020年大統領選での不正疑惑に対する大規模な反政権デモを弾圧して以来、数百人の政治犯が拘束されている。2022年のロシアのウクライナ侵攻で、ベラルーシは領内からロシア軍が出撃することを容認した。
リトアニアに亡命しているベラルーシの反政権派指導者スベトラーナ・チハノフスカヤ氏は21日、ルカシェンコ大統領との取引はいかなるものであれ「極めてリスキーだ」と警鐘を鳴らした。
チハノフスカヤ氏はAFPの取材に対し、「カリ化合物から得られるすべての外貨がベラルーシ国内での弾圧やロシアの戦争継続の支援へと流れている以上、現政権と取引を行うべき時ではないというのがわれわれの立場だ」と語った。一方で、米国人も「ルカシェンコがどのような人物であるかは理解しているはずだ」と述べ、米国を信頼していることを強調した。



