沖縄県知事選で「オール沖縄」が分裂し、これまでと異なる選挙戦を余儀なくされる玉城デニー沖縄県知事。劣勢がささやかれる中、陣営にとって「最後の砦はなお根強い玉城人気」(選対幹部)であることは間違いない。
「誰一人取り残さない優しい沖縄」を訴え
米兵の父を持ち、母子家庭で育った生い立ちから、多くの支援者は「戦後の沖縄の歩みと重なり、沖縄の庶民の苦悩の代弁者」と位置づける。これも踏まえて、玉城氏は今回、「誰一人取り残さない優しい沖縄の実現」を訴えている。
そうした中、中道所属の小沢一郎氏(元衆院議員)は8月4日に沖縄に入り、玉城氏支援を明言した。那覇市の玉城事務所を訪れた小沢氏は、記者団に「中道が何を決めようが、玉城くんの応援は、僕のできる限りのことはする」と拳を振り上げた。
「3期目のジンクス」と独自色への模索
以前から関係者の間で「玉城氏の政治の師匠は小沢氏」(玉城氏側近)ということはよく知られている。小沢氏は玉城氏が初当選した18年の知事選から支援しており、中道所属になった今も、玉城氏の支援継続をアピールするため、沖縄に足を運んだ。4日に玉城氏と会った小沢氏は、今回の選挙戦について「非常に厳しい。火の玉にならなきゃ勝てないぞ」と活を入れたとされる。
その小沢氏が指摘したのは「3期目のジンクス」だ。歴代8人の沖縄県知事で、3期以上務めたのは、第3代(1978~90年)の西銘順治氏(自民党系)だけだからである。
これも踏まえて、玉城陣営は今回、「翁長県政の継承を軸にした過去2回の知事選戦略から脱却し、独自色を出せるかが勝敗の分かれ目」と訴える。玉城氏も10日の那覇市での集会で「自分は強いリーダーシップで引っ張る翁長さんとは正反対。皆さんと一緒に何ができるかを考えるリーダーでありたい」と独自色をアピールした。
高市政権の行方も左右する大接戦
過去にない大接戦が見込まれる今回の沖縄県知事選の勝敗は、高市首相にとっても「単なる地方選の結果では済まされない」(官邸筋)。9月以降の政治日程の中で最大のポイントとなる党役員・内閣改造人事は「沖縄の結果を踏まえて、断行するしかない」(同)とみられているからだ。
高市政権にとって、次期臨時国会を何とか乗り切っても、来春の統一地方選で自民党が苦戦すれば、秋の自民党総裁選での再選戦略が揺らぎかねない。だからこそ、「今回の沖縄知事選は何としても勝ちたい」(同)のは自明の理だ。
お盆明け以降も、熊本地震や千葉豪雨への対応を理由に“公邸住まい”を続ける高市首相にとって、「人事に加えて沖縄県知事選の情勢が“眠れぬ夜”の長期化につながる」(自民党長老)ことは間違いなさそうだ。



