Netflix、U-NEXT、DAZNがスポーツ放映権で意見表明 ユニバーサルアクセスと放送との連携を議論
Netflix・U-NEXT・DAZNがスポーツ放映権で意見表明

スポーツ庁「スポーツを観る機会の確保及びスポーツ放映に関する検討会」の第3回会合が20日に行われ、DAZN Japanの笹本裕CEO、Netflixの竹廣克公共政策ディレクター、U-NEXTの横山英士TV・スポーツ本部副本部長が出席した。スポーツ放映権料が高騰する中で、国民の視聴機会をどう確保し、スポーツ産業の成長につなげていくのか、各社がそれぞれの立場から意見を述べた。

Netflix、WBC独占配信の成果と視聴者層の広がり

2026年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)全47試合を国内独占配信したNetflix。竹廣氏は、試合を届けるだけではなく、選手やチームの大会に懸ける思いを描く関連コンテンツやSNSでのハイライト動画など、視聴者がさまざまな形で大会に触れられるように設計したと説明した。

映像面では、決定的な瞬間をさまざまな角度から再現する「ボリューメトリックビデオ」、ホームベース周辺に設置する「ダートカメラ」、東京ドーム上空からのドローン撮影、球速や打球速度、打球角度などを可視化する「スタットキャスト」を導入。竹廣氏は「野球を届けるならどんな方法がベストか、ビジョンを持って徹底的にこだわり抜くことができたことも、ある意味、今回我々の方で独占配信させていただいたことのメリットではないかというふうに考えてございます」と語った。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

その結果、全47試合の延べ視聴者数は3,140万人に上り、日本対オーストラリア戦は1,790万人が視聴。日本戦をきっかけにWBCを見た人の約55%が日本代表の出場しない試合も視聴し、35歳未満が視聴者の30%超、女性が約48%を占めるなど、視聴者層にも広がりが見られた。

U-NEXT、放送局との「共同モデル」とユニバーサルアクセス権への賛成

U-NEXTの横山氏は、放送局との「共存」を強調。同社は、マスターズや世界卓球、バレーボールネーションズリーグ、アジア大会などについて、テレビ局が日本人選手や日本代表を中心に放送し、U-NEXTはマルチチャンネルを生かして国内外の選手や全試合・全競技をカバーする「共同モデル」を展開している。

横山氏は独占配信するコンテンツもあるとした上で、「権利を獲得したからといって、そこで独占して終わりという考え方ではなくて、ライツホルダーだからこそ、いろいろ競技団体様からいただく貴重な映像や選手のインタビューなど、現地から調達した映像を放送局さんに基本的には無償で提供させていただいています」と説明。こうした映像がスポーツニュースやスポーツ番組で使用されることで競技への関心が広がり、「最終的に我々に返ってきて、好循環が生まれれば」という発想だという。

今回の検討会で大きなテーマとなっている「ユニバーサルアクセス」の考え方について、横山氏は「ユニバーサルアクセス権に関しては、明確にU-NEXTは賛成というスタンスをとっています」と表明。さまざまな視聴環境をつくることが国内のスポーツファン拡大につながり、スポーツが持つ教育的な側面にもプラスになるとした上で、最終的に自社のビジネスへ戻ってくればいいという考えを示した。放映権料が高騰する中での選択肢として、配信事業者同士でコンソーシアムを組むことや、放送局も交えた「放送・配信の枠を束ねたコンソーシアム」の形成にも言及した。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ

DAZN、ハイブリッドモデルの重要性を指摘

DAZNの笹本氏は「国民がスポーツを見る権利は非常に重要」と強調する一方、無料で視聴できる機会だけを追求すればいいわけではないとの立場を示した。2026年のFIFAワールドカップでは、日本代表戦全試合に加え、準決勝、決勝、3位決定戦を無料配信し、地上波とのハイブリッド環境を構築。全国1,000カ所以上でパブリックビューイングも実施した。

笹本氏は、スポーツを見る権利と、放映権料が競技団体などへ還元されスポーツ産業が持続的に発展する仕組みとのバランスが重要だと指摘。「ユニバーサルアクセス権というのが様々な形で展開されておりますが、必ずしもこれがベストだというのはどの国においてもない」とし、放送と配信を組み合わせた「ハイブリッドモデル」をいかに構築するかが重要との考えを示した。

Netflix、放送との連携も否定せず

Netflixは、ユニバーサルアクセス権の制度そのものについて明確な賛否は示さなかった。WBCでは全プランで全47試合を視聴できるようにし、498円で視聴できる選択肢を用意。全国77カ所で無料のパブリックビューイングを行い、29の自治体・学校と連携して1万1,636人が観戦した。資料では「アクセス確保と適切な還元を対立させず、両者を両立させることが重要」との考え方を示している。

委員から、国民的スポーツイベントについて無料の地上波放送機会を確保すべきという声をどう考えるか問われると、竹廣氏は、今回のWBCも長年スポーツ中継を担ってきた放送局(日本テレビ)との連携があったからこそ実現できたとして、「放送と配信というものが連携する可能性というのを決して否定することもない」と回答。お互いの強みを生かした連携は今後も追求していきたいとした。

ただ同時に、スポーツの伝え方には「まだまだ多くのイノベーションの余地」があるとも指摘。主催団体と綿密に連携し、一定の試合数をまとめて配信するからこそ大規模な投資が可能になる面もあるとして、放送と配信の共存だけでなく、メディア間の競争がイノベーションにどのような影響を与えるのかも重要な論点だと訴えた。