高市首相の経済成長と財政健全化の両立は困難、内閣府試算に甘い金利想定
高市財政の両立困難、内閣府試算に甘い金利想定

高市財政の矛盾:成長と財政健全化の両立は可能か

慶應義塾大学経済学部教授の土居丈朗氏は、高市首相が推進する経済成長と財政の持続可能性の両立について、内閣府の試算に基づき厳しい見解を示した。内閣府が6月24日に公表した「成長戦略実現ケース①」では、プライマリーバランス(PB)が2028年度以降黒字を拡大し、2040年度には対GDP比で約1%の黒字になるとしている。しかし、財政収支赤字対GDP比は拡大し、その裏側で利払い費が増大し続けるという構造が浮き彫りになった。

非公表の金利想定を独自に算出

土居教授は、内閣府が本稿執筆時点で金利想定を一切公表していない点を問題視し、公表されたグラフから数値を読み取り、予算制約式を用いて金利を逆算した。その結果、成長戦略実現ケース①では、2030年度に金利が2%超、2034年度に3%超、2040年度には約4%に達すると想定されていることが判明した。

しかし、この金利想定は、2026年1月時点の中長期試算の成長移行ケース(紫線)とほとんど変わらない。土居教授は「国債を増発するのに金利はほぼ同じというのは、都合のいい試算と言わざるを得ない」と批判する。さらに、成長戦略実現ケース①には、別枠管理の成長投資分としてさらなる国債増発が織り込まれておらず、実際にはより多くの国債発行が必要となる。

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利払い費増大が財政収支を圧迫

財政収支赤字はPB赤字と利払い費の和で定義される。PBが黒字でも利払い費が増えれば財政収支赤字は拡大する。土居教授は「PB黒字が続けば公債等残高対GDP比は低下するが、利払い費の増大は無視できない」と指摘する。近年発行される国債の約半分は償還期間2年以下であり、市場金利の上昇が早期に利払い費に影響する構造も問題だ。

経済成長頼みの財政運営の限界

土居教授は、内閣府の試算が名目経済成長率の高い想定に依存していると指摘。成長が実現すれば税収増とPB改善が見込めるが、金利上昇が想定以上に進めば利払い費が急増し、財政の持続可能性が脅かされる。高市首相が胸を張る「経済成長と財政健全化の両立」は、甘い金利想定に支えられた脆弱なシナリオに過ぎないと結論づけている。

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