高市政権、2027年度予算編成で成長投資を柱に転換、AI・半導体など17分野に新たな投資枠。財政規律との両立が問われる
高市政権、2027年度予算編成で成長投資を柱に転換、AI・半導体など17分野に新たな投資枠、財政規律との両立が問われる

高市政権は「責任ある積極財政」を掲げ、2027年度の予算編成方針を従来から大きく転換する。重点分野への成長投資を積極的に進めるのが柱だが、その場合も財政健全化への配慮を忘れてはならない。

各省庁が予算を要求する際の目安となる概算要求基準が決定し、月末までに要求が出そろう。今年度の当初予算は過去最大の122兆円に上っており、来年度にどこまで膨らむのか金融市場は注視している。

成長投資の新たな枠組み

新たな基準の目玉は、成長分野に専用の投資枠を設けたことだ。政府は40年度までに、AIや半導体など17の戦略分野について、官民合わせて370兆円超の投資を進める方針で、この枠には要求の上限を設けない。

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日本経済はこれまで、民間企業が内部留保をため込み、投資不足から長期停滞に陥ってきたと指摘されている。新たな投資枠で積極的な投資を促す狙いは理解できる。ただし、国の借金は主要国で最悪の水準だ。総花的に官民投資を進めるのではなく、重点分野をさらに絞り込み、資金を投じるべきだ。歳出削減の努力も欠かせない。

単年度主義の見直し

予算の単年度主義の弊害にも目を向けた。単年度では長期間にわたる十分な資金を確保できないうえ、使い残した予算を年度末に無理に消化する慣行が根強いためだ。

そこで、経済安全保障上重要な分野への投資などについて、複数年度で予算を管理する新たな制度を導入する。将来の予見性を高め、民間投資を呼び込みやすくする狙いがある。改革の方向は妥当だとしても、財政規律が緩む懸念がある。不断に点検する仕組みも必須だ。

補正予算をめぐる警戒

概算要求基準では、あらかじめ必要な施策を当初予算に組み込み、補正予算の編成を避ける方針も打ち出した。コロナ禍以降、巨額の補正予算が常態化し、無駄な予算も少なくなかったためだ。

ただ、市場は新方針を額面通りには受け止めていない。補正分を当初予算に組み込むだけなら、予算総額が膨らむ一方になると警戒している。片山財務相は「もはやシーリングと呼ぶべきものはない」と語った。シーリングとは、予算要求を前年度以下に抑える基準のことで、方針転換を印象づける政治的な狙いがあるのだろう。

とはいえ現実に、無駄な歳出を行う余地はない。強い経済を実現するには、財政規律を守り、過度な円安を防ぐことが不可欠だ。

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