麻生太郎が「愛子天皇」を阻止する真の目的とは?島田裕巳が分析
麻生太郎が「愛子天皇」阻止する真の目的とは

政府は6月30日、皇族数確保策を盛り込んだ皇室典範などの改正案を臨時閣議で決定した。今後は審議に入り、今国会での成立を目指す構えだ。皇室史に詳しい島田裕巳さんは「当初は『静謐な環境』での改正議論が強調されたものの、今や、それとはほど遠い状況にある」という。

政争の具となった皇室典範改正

皇室典範の改正をめぐる動きは、今や政治上の争いの様相を呈してきた。当初は「静謐な環境」での議論が強調されたものの、今や、それとはほど遠い状況にある。その典型が、連立を組む自民党と維新の会とのあいだで改正案に合意がなされる直前、維新の会が異議を唱えたことである。

維新の会は、女性皇族の結婚後の身分保持に反対するとともに、旧宮家からの養子について「15歳以上とする年齢制限はおかしい」とかみついた。結局、数に勝る自民党に屈し、維新の会は、改正案の成立を優先するとして、自分たちの考えを取り下げた。

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すでに〈「愛子さまと結婚する人ない」発言でバレた…島田裕巳が読み取った「自民党の強い焦りと男系男子の無理筋」〉で述べたように、政府・自民党の側は、最後の最後になって、養子として入った男性には皇位継承の資格を与えないものの、その子どもには男の子であれば、それを与えると言い出した。

その経緯からすると、養子に入る人物の目処が立っているように思えるのだが、維新の会のほうは別の人物を想定してきたようだ。はっきりしているのは、誰を養子として皇室に入れるかで、2つの勢力が権力闘争をくり広げたことである。まるでそれは、藤原氏が摂関政治を推し進めた平安時代を思わせる。あの時代なら、それに伴って血も流されたであろう。

麻生太郎氏サイドの隠された思惑

そのせいか、皇室典範改正の動きをリードしてきた自民党の副総裁、麻生太郎氏は藤原氏にたとえられるようになってきた。その先鞭をつけたのが、政治学者の御厨貴氏である。『文藝春秋』7月号での作家の林真理子氏と元首相の野田佳彦氏との鼎談で、「三笠宮寬仁親王妃家に養子が取られたら、麻生さんが天皇の外戚になり、平安時代の藤原氏のようになる」と発言した。

三笠宮寬仁親王妃の信子妃は麻生氏の実の妹である。藤原氏は、その頂点を極めた藤原道長が典型だが、娘を朝廷に嫁がせ、天皇との間に生まれた子どもを天皇に即位させることで権力基盤を築き上げた。

その再現だというわけだが、最後の最後に、木原稔官房長官が、養子として入った男性の子どもは男の子なら皇位継承の資格を有するとしたことで、御厨氏の指摘が現実味を増してきた。

与党の間で合意はできたものの、今回の皇室典範改正案に反対の声が多く上がっているのも、底流に養子の子どもをゆくゆくは天皇に即位させようという、麻生サイドの思惑が隠されてきたからである。そこには、麻生太郎氏の野望がある。

国民は望んでいない「平安時代の藤原氏」

島田氏は、国民の多くは「愛子天皇」を望んでいるにもかかわらず、麻生氏はそれを阻止しようとしていると指摘する。麻生氏の目的は、自身の血縁を皇室に送り込み、外戚として権力を握ることにあるという。

改正案の根拠は極めて薄弱であり、皇族を「道具」とみなす時代錯誤の意識が感じられると島田氏は批判する。男系継承に固執するあまり、国民の意思や天皇陛下の意向が無視されていると警鐘を鳴らす。

今回の皇室典範改正をめぐる動きは、単なる制度改正ではなく、権力闘争の様相を呈している。麻生氏の野望が実現すれば、皇室は再び政治の道具と化し、国民の支持を失う恐れがある。

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