文部科学省は2026年度、原子力分野の人材育成を目的とした産官学の拠点を日本原子力研究開発機構に新設する方針を固めた。退職した技術者らを講師として派遣する「シニア人材プール」を設置し、大学の授業支援や原子炉を扱う実習などを実施する。原子力発電所の新設や運転を担う人材を安定的に確保する狙いがある。
新拠点の概要と参画機関
15日に開かれる有識者会議で文科省が方針を示す。新拠点は文科省所管の日本原子力研究開発機構が事務局を務め、原子力工学などの教育研究に取り組む大学や高等専門学校、電力会社、メーカー、国立研究開発法人など70機関以上が参画する見通しだ。
最大の目的は、原発の新設から運転、点検、廃炉に至るまで、将来の原子力産業や研究開発を担う中核人材を育成することにある。新拠点では基礎知識を習得する共通教材の作成、大学の研究炉を使った実習、原発での実地研修などを企画する。
シニア人材プールによる技術継承
学生への指導は、ベテラン技術者らで構成する「シニア人材プール」が支援する。電力会社や大学教員のOBらが登録され、出前授業などを通じて技術を継承する。新拠点は、人材育成事業ごとに連携する参画機関を選び、5~10年の委託事業として契約する。
原子力政策の転換と人材流出の現状
原子力を巡っては、政府が2024年に改定したエネルギー基本計画で、2011年の東京電力福島第一原発事故以降続いた「依存度を可能な限り低減する」政策を転換し、最大限活用する方針を打ち出した。
しかし、原発事故の影響で原子力人材は他業界への流出が続いている。文科省によると、大学や大学院の原子力関連学科・専攻への入学者数は1990年代初めに673人いたが、近年は170~180人程度にまで減少した。
文科省は、産業界と連携した新拠点の活動で人材の枯渇を食い止め、原発の安全な運転や維持につなげたい考えだ。



