奈良県の山下真知事(58)は16日、来年春の統一地方選に合わせて実施される見通しの次期知事選に、日本維新の会の公認で立候補する意向を表明した。維新と国政で連立を組む自民党の県連は対抗馬を擁立する方針で、高市首相(自民総裁)の地元・奈良で与党がぶつかり合う可能性が出てきた。
「引き続き重責担う」と表明
山下氏は16日の県議会本会議で、「引き続き知事の重責を担い、全身全霊で職務に取り組む決意をした」と述べた。現在は維新の県総支部代表を務めており、党本部に知事選の公認を申請中という。
山下氏は山梨県出身。東大を卒業後、朝日新聞記者を経て弁護士になった。2006年から奈良県生駒市長を務め、15年の知事選に無所属で出馬したが、当時現職だった荒井正吾氏に敗れた。維新の公認を得て再挑戦した23年の前回知事選で、自民県連が推薦した元総務官僚の平木省氏や5選を狙った荒井氏らを破り、初当選を果たした。
次期知事選への出馬を表明したのは山下氏が初めて。維新にとって山下氏は大阪以外で唯一の公認知事で、維新の衆院議員の一人は「1期のみで辞めることは考えられない。現職が早めに立候補を表明することで、自民側をけん制することになる」と話す。
前回選は「漁夫の利」
維新は自民と昨年10月に国政で連立を組み、今月17日の内閣改造では初入閣する見通しだ。こうした中央政界の動きとは対照的に、奈良では前回知事選に続いて両党が対決する可能性が高まっている。
自民県連は今年7月の総務会で、次期知事選に独自候補を擁立する方針を決定した。疋田進一幹事長(県議)は維新と知事選で戦うことについて、記者団に「(反対の)意見は出なかった」と述べた。県連幹部によると、これまでに総務官僚らの名前が挙がったが、擁立の見通しはまだ立っていないという。
前回知事選では、県連が高市氏の総務相時代の秘書官だった平木氏を推薦したものの、一部の自民県議が荒井氏の支援に回ったことで「保守分裂」の選挙となり、山下氏が「漁夫の利」を得る形となった。平木氏と荒井氏の票を足すと山下氏の得票を上回っており、県連内では、当時会長だった高市氏の責任を問う声も上がった。
擁立に賛否
ただし、自民県連内は一枚岩とは言いがたい。県議会(定数43)の自民は現在、二つに分裂しており、最大会派の「自民党・無所属の会」(15人)は独自候補の擁立に積極的だ。一方、第2会派の維新(11人)に続く第3会派の「自民党」(7人)は山下県政に比較的協力しており、ある県議は「自維連立を考えれば、今回は擁立を見送るべきではないか」と話す。
高市氏は現在、県連の運営に直接タッチしていない。県連関係者によると、「知事選のことは県連会長に任せている」と話しているという。独自候補の擁立に前向きなあるベテラン県議は「前回の二の舞いになったらあかんから、高市氏は『知らん顔』なのでは」と不満を漏らす。



