骨太の方針決定 金融市場の懸念軽視は危うい
骨太の方針決定 金融市場の懸念軽視は危うい

政府は高市政権で初となる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」を閣議決定した。2027年度を「責任ある積極財政元年」と位置づけている。

人工知能(AI)や半導体など17の戦略分野について、40年度までに官民で370兆円超の投資を目指す一方、財政健全化の目標は柔軟化する内容だ。

「骨太ショック」と市場の反発

今回の骨太の方針は6月30日の原案公表から決定に至るまで異例の過程をたどった。金融市場に「骨太ショック」と称される否定的な反応が広がったからだ。

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原案には、政府が日本銀行の早期利上げをけん制していると受け止められる文言があったほか、歴代政権が約束してきた「財政健全化」の言葉も消えていた。

市場は日銀の利上げの遅れと財政悪化への警戒を強め、長期金利は一時2.9%と約30年ぶりの水準に達し、為替相場も1ドル=163円近くまで円安が進んだ。

過度な金利の上昇と円安は、経済の安定成長を損なう恐れがあり、憂慮すべきものだ。

迷走する財政政策

政府内にも危機感が強まったのだろう。原案を修正し、日銀の独立性に言及したのは妥当だが、迷走感は否めない。

一方、財政健全化の文言を復活させなかったのは理解に苦しむ。「財政の持続可能性」という言葉に置き換えたとしているが、これでは市場の警戒は収まるまい。

迷走の最たるものは消費税の減税だ。政府と与野党の社会保障国民会議では、食料品の消費税率を27年4月から2年間、8%から1%に引き下げる自民党案について、野党側が反対したままだ。

さらには消費減税の財源に全くめどが立っていない。これでは市場が不安になるのも当然だ。

高市首相は8月初めまでに消費減税の方針を決定し、秋の国会で関連法案を成立させる姿勢を崩していない。このまま消費減税に突き進めば、過度な円安と物価高は収まらず、国民の不満は募るだけだ。撤回を決断すべきである。

政府内では、円安と金利上昇を抑制するため、年金積立金を管理する法人の資金を、国債など円建て資産に振り向ける案も浮上しているという。年金受益者の利益を軽視する奇策に走るならば、泥縄式の対応と言うしかない。

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