夏休みはインターンシップ(就業体験)が本格化する時期だ。参加に向けて準備を進める大学3年生も多いだろう。応募段階や参加中、振り返りの際に取り組むべきことは何か。専門家2人に聞いた。
インターン参加の心構えと目的
就職情報サイト「キャリタス就活」の林茜編集長(49)は、インターンに臨む際の三つの目的を挙げる。「業界や企業への理解を深める」「自分の適性を確認する」「知識やスキルを身につけて成長する」だ。仕事内容が自分の思い描いているものか、その仕事に向いているのか、社風は合っているのかなどを確認できるという。
準備と企業選びのポイント
必要な準備として、林編集長はまず自己分析を推奨する。「過去の経験とその時のモチベーションをグラフにすると、どんなときにやる気が出て、何が嫌なのかが明確になる」と説明。「自分史」を書くのも有効で、働く上で大切にしたいことがわかり、就活の軸が定まるという。
参加企業の選び方については、大手企業はインターンの応募者が多く選考があることもあると指摘。その企業の取引先や業界の勢力図を紹介する情報誌などを参考に、中小企業も候補に含めるようアドバイスする。実際に参加した先輩の口コミが載っている就職情報サイトのチェックや、複数の企業が出展するインターン関連イベントに行くのも手だ。
スケジュールと学生生活との両立
開催時期は8~9月がピーク。5日間以上のインターンに複数応募し、1、2社の参加を目指すのが現実的だ。「オープン・カンパニー」(1日程度の体験イベント)は気軽に参加しやすい。目指す企業や業界で複数のプログラムを体験すると理解が深まる。
学生生活との兼ね合いについては、秋以降も短期プログラムが数多くあるため、焦らず自分が知りたい、体験したいと思ったときに参加すればよいと林編集長は語る。「部活をやり切りたい」「留学に行きたい」など優先したいことがあるなら、そちらに力を入れよう。学生生活を充実させることが、後々の就活で強力なアピール材料になる。
企業は学生の何を見ているのか
東洋大学就職・キャリア支援部の前田孝部長(55)は、インターンで企業が何を見ているかを解説する。企業は自社の経営理念や事業内容を説明した上で、「新規事業の立案」などのテーマにグループで取り組ませることが多いという。「企業は成果物の質よりも、問題点を分解し、異なる意見をどうまとめていくか、その過程を見ている」と前田部長。無理をしてリーダーシップを発揮する必要はなく、時間の管理や議論が脱線した際の軌道修正、意見を分かりやすく構造化するなど様々な役割があり、どう貢献できるか考えることが重要だ。
社員への質問と違和感の活かし方
社員に聞くべきこととして、前田部長は「ホームページに載っていることを聞くのは時間の無駄」と指摘。「御社のビジネスをこう理解し、こうなると面白いと考えたのですが、現場のリアルな壁は何ですか?」など、自分なりの仮説や熱意をぶつけてみよう。実際の働き方を知りたければ、「入社5年目、10年目の先輩方はどんなライフスタイルを実現していますか?」といった聞き方もありだ。
インターン中に違和感を持った場合、前田部長は「体験して『合わない』と分かることは、立派な前進」と強調。大切なのは、業務内容や社内の雰囲気など違和感の理由を言語化しておくことだ。突き詰めることで価値観が磨かれ、就活の羅針盤になる。
振り返りと成長のサイクル
振り返りについては、「どんな取り組みにワクワクしたか」「社員のどの言葉に最も疲弊したか」など、感情の起伏を記録しよう。採用選考での志望動機が実体験に基づいた言葉になり、面接担当者の心を動かす力強さにつながる。個別にフィードバックをもらった場合、耳の痛い「改善点の指摘」は宝の山だ。それを大学での学びに生かしてほしい。「思考の詰めが甘い」と言われたら、秋から大学の授業でデータ分析の講義を本気で履修してみるなど、実践→課題発見→深掘りのサイクルを回すことが、あなたを劇的に成長させる。
不安を感じる学生へ
インターンがうまくいかず不安な学生に対し、前田部長は「周りの学生と張り合う必要はない」と語る。「大切なのは挫折や違和感といった様々な経験を踏まえ、自分の判断軸を整理し直すことだ。困ったときは抱え込まず、大学のキャリアセンターで吐き出して。『作戦本部』として、全力で伴走するぞ!」とエールを送った。



