彦根城、山駕籠でバリアフリー登城の実証実験を19日に実施
彦根城、山駕籠でバリアフリー登城の実証実験を19日に実施

滋賀県彦根市は、世界文化遺産登録に向けて国内推薦候補に決まった彦根城について、歩行が困難な人でも本丸に登城できるよう、江戸時代に山道などで使われた「山駕籠(かご)」を用いた実証実験を19日に行う。世界遺産登録を見据え、文化財を保護しながらバリアフリーに配慮した方法を模索する。

石段約140段、高低差50メートルの難所

彦根城は、表門券売所から天守前広場のある本丸までの高低差が約50メートル、距離は約300メートルある。傾斜が急な石段が約140段続き、車いすユーザーや足が不自由な人の登城は難しい状況だ。また、彦根城跡は国の特別史跡に指定されていることから、石垣や石段などを現状のまま保護する必要がある。構造物を傷めたり改変したりするおそれのあるスロープやエレベーターの設置は行えないとしている。

車いすでの調査では危険性を指摘

市は、誰もが彦根城の観光を安心して楽しんでもらえるよう、史跡への影響を最小限に抑える方法での登城手段を検討してきた。5月には、NPO法人県脊髄損傷者協会が市などと協力して調査を実施。人力車のように前方にフレームを設置し、前輪を浮かせて引っ張る形式の車いすを用意、補助役2人ががりで運んだ。

天守前広場までを目指したが、補助役の負担が大きかったため、手前の天秤櫓(てんびんやぐら)前の橋までの往復に変更。同協会の前野奨(すすむ)理事長(59)は、石段の段差が高くて幅も不規則だったことから、特に下山は車いすが傾いて危険に感じたといい、「現在の経路では車いすユーザーの登城はお勧めできない」と振り返った。

備中松山城から借りた山駕籠で実験

今回、市は、岡山県高梁市の備中松山城で同様の仕組みづくりに取り組んでいる同市から山駕籠を借りて実験を行う。駕籠はアルミ製で、重さ約17キロ、座面は縦85センチ、横65センチ。2人が担ぎ棒を肩にかけて運ぶ。備中松山城は彦根城よりも険しい山城で、本丸までの距離は約500メートルある。高梁市の担当者は「登山道が狭くて勾配もきついため負担が大きい。担い手不足も課題」と話し、駕籠での登城は断念している。

実証実験は、19日午後1時半~午後5時。足に障害がある2人に駕籠に乗ってもらい、券売所前から天守前広場までを移動する。体験者にアンケートを実施し、今後の運用を検討するとしている。

田島一成市長は9月28日の定例記者会見で「世界遺産登録が実現すると、より多くの人が訪れることが予想される。どれだけ時間がかかるかや、乗る人の受け止めなど実験データを蓄積し、丁寧に分析を進めていきたい」と話した。

市は実験での担ぎ手のボランティアを募集している。体力に自信のある人で、5人程度。応募期間は10月9日午後1時まで。申し込みなどの問い合わせは、市文化財課(0749・26・5833)。