トラック新法の適正原価、新聞協会など7団体が段階的導入を首相に要望
トラック新法の適正原価、7団体が段階的導入を首相に要望

日本新聞協会など7団体は28日、昨年公布されたトラック新法に基づく適正原価制度について、段階的導入などを求める要望書を高市首相宛てに提出した。物流の混乱や物価高など日本経済全体に与える影響が大きいとして、政府に対応を求めた。

首相官邸で要望書を提出

要望書は、日本新聞協会の山口寿一理事(読売新聞グループ本社社長)、日本雑誌協会の野間省伸理事長(講談社社長)のほか、日本出版取次協会、出版文化産業振興財団の代表が首相官邸を訪れ、木原官房長官と面会して手渡した。

面会後、報道陣の取材に応じた山口理事は、「法律の趣旨には賛同しているが、直ちに導入された場合、思わぬ混乱や物価高を招く懸念があり、一定の猶予期間や段階的な導入をお願いした」と述べた。木原長官は「法律が作られた頃と比べ、インフレや原油高もある。しっかり受け止めて検討させてほしい」と応じたという。

適正原価制度の仕組み

適正原価は、運送事業者が荷物を運ぶ際に発生する人件費などの固定費、燃料費といった変動費などを合算して算出される。人件費の算出に「全産業の平均賃金を踏まえた金額」を単価として使うことなどで、運転手の賃金アップを図る仕組みだ。適正原価を下回ると、荷主、運送事業者に指導や許可の見送りなどの措置がとられる。適正原価には最終的な利益は含まれないが、最低運賃と似た意味合いを持つことになる。

国土交通省が2026年7月に設置した有識者検討会で制度の詳細を議論しており、年内に提言をまとめ、28年6月までに施行される見通し。

要望書の内容

要望書は、海外では、最低運賃制度は珍しく、導入の際には激変緩和を図っていると紹介。一方、今回の制度は品目や業種を問わずに導入されようとしており、各段階の輸送費が一斉に上昇し、物価を押し上げることは確実だと指摘した。

その上で、〈1〉導入の影響を分析し、透明性を確保した政策決定〈2〉事業実態を踏まえた十分な柔軟性を織り込む〈3〉荷主と事業者の双方に利益をもたらす制度とする〈4〉猶予期間(1~2年)を設けた後、数年(5~6年)かけて導入し、荷主や事業者の物流効率化などへの支援を行う――などの対応を政府に求めた。

◆ トラック新法 =昨年公布された「改正貨物自動車運送事業法」と「貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律」の総称。持続可能な物流の確保や経済発展を図るため、トラック運転手の処遇改善などを盛り込んでいる。