地方自治体の選挙で電子投票を導入する動きが再び出てきた。香川県知事選(8月30日投開票)で善通寺市が電子投票を実施した。知事選をめぐっては平成16年の岡山県新見市以来2例目だ。
開票時間と人員が大幅に削減
善通寺市の開票は約30分で終わり、前回の約95分から大幅に短縮した。作業に従事した職員は約20人で、投票用紙を用いた前回の約70人から大きく減った。
電子投票は14年の特例法施行で、自治体が条例で定めれば首長選や議会選で可能になった。国政選挙への適用は認められていない。投票所にタブレット端末などを置き、有権者は端末の画面で選んだ候補者名に触れて投票する。
民主主義の基盤強化への期待
開票作業を効率化し、選挙結果が早く分かるようになる。国政選へ適用されれば衆参ダブル選や、憲法改正国民投票との同時実施も容易になる。
利点は他にもある。判別に困る疑問票や無効票を減らし、投票者の意思をより正確に選挙結果へ反映できるようになる。自由選挙と秘密選挙に欠かせない投票立会人をそろえることが前提だが、駅や商業施設など人が集まる場所での投票所の開設が進むかもしれない。選挙区外の遠隔地から投票できるようにすることも将来、検討されていい。投票率向上が期待できる。
課題と今後の展望
機器の故障で投票が一時不能となった15年の岐阜県可児市議選を最高裁が選挙無効とし、自治体が導入に慎重になった。令和6年に全国でおよそ8年ぶりの電子投票が大阪府四條畷市長選と同市議補欠選挙で行われ、今年3月には宮崎県新富町の町議補選でも実施された。
安定した投票実現には、故障による投票不能を防ぐバックアップ体制が求められる。視覚障害者には代理投票とは別に、選んだ候補者に確実に投票したと思える仕組みがほしい。投票データの安全確保は極めて重要だ。電子投票はインターネットを介さないが不正アクセスや投票記録改竄への対策を徹底したい。
民主主義国は中露両国によるSNSを用いた選挙介入を警戒している。日本の選挙への介入は許されない。来春の統一地方選で電子投票を実施する自治体が増えることを期待する。国政選挙への導入も検討したい。



