ロッキード事件50年 田中角栄元首相の金権政治 「カネを情に変える」手法とその影響 現代の劣化も指摘 新川敏光教授に聞く
ロッキード事件50年 田中角栄元首相の金権政治 カネを情に変える手法 新川教授が解説

ロッキード事件から50年を迎え、田中角栄元首相の金権政治の本質を、比較政治学が専門の新川敏光・法政大教授が分析した。新川教授は田中元首相について、多くの著作を持つ。

田中角栄の政治手法:カネを情に変える

新川教授は、田中元首相について「良くも悪くも政治活動にかかる資金を自ら集めることによってのし上がった政治家だった」と指摘する。刑事訴追されたこともあり金権政治の象徴とみられてきたが、その特徴は蓄財ではなく、自らが目指す政策の実行のため、同僚議員ら周囲に資金を配って勢力を拡大するところにあった。「カネ」を「情」に変え、求心力の強い派閥を作り上げたが、もともと大衆政治に潜んでいた金権体質を露骨なものにしてしまったというそしりは免れないという。

ロッキード事件と米国の警戒

ロッキード事件について、米国政府の謀略だという説もあるが、新川教授は「それを裏付ける確たる証拠はない」と述べる。ただ、原油をはじめとする独自のエネルギー調達ルートを開発しようとした田中政治に対して、米国政府が警戒心を抱いていたことは間違いないだろうと指摘。多角的な外交を目指した田中政治が挫折したことによって、その後の日本外交は「対米従属」ともいわれるバランスを欠くものになっていったとの見方を示した。

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その後の政治改革と金権体質の継続

ロッキード事件以後もリクルート事件をはじめとする金銭にまつわるスキャンダルは途絶えず、1990年代初頭には「政治改革」が断行された。利害誘導につながりやすいという批判のあった中選挙区制を小選挙区を中心とする選挙制度に変え、さらに政党助成金制度が導入されたが、金権体質をなくすことはできなかった。

現代の金権政治の劣化

田中政治は金権政治を助長した面がある一方、国民生活を改善するという強い思いもあったと新川教授は評価する。しかし、現代の政治スキャンダルでは、蓄財に走る政治家の姿も見える。その点で、金権政治はさらに「劣化」しているように思われるという。これは政治家だけの責任ではなく、すべてを金銭で測る社会的風潮の蔓延を反映しており、公共空間としての政治の価値を、教育を含めた様々な局面で問い直す必要があると新川教授は語っている。

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