国内の長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが、約30年ぶりに3%を超えた。この上昇が企業の投資や家計の住宅ローン負担などに悪影響を及ぼす懸念が強まっている。過度な円安やインフレなど経済・金融環境のリスクが意識された金利上昇であり、急速な進展も気掛かりだ。
金利上昇の背景と警戒すべき要因
金利上昇の背景には、中東情勢の悪化による世界的なインフレなど多くの要因がある。中でも特に警戒すべきは、高市早苗政権での財政不安の高まりだろう。日銀の早期利上げ観測が強まったことも金利上昇を勢いづかせた。政府・日銀は、これらを踏まえ適切な政策運営に努めなければならない。市場の信認を得られるかが厳しく問われよう。
日銀の利上げ判断と米国の圧力
金融政策を巡っては、日銀が17、18日に追加利上げを検討する。ベセント米財務長官は植田和男総裁との会談で、過度な円安を避けるには適切な金融政策が必要だという認識を示し、利上げへの強い期待を示した。米国が「圧力」をかけるのは日本市場への警戒感が強いからだ。利上げが遅れれば円安や物価高を助長し、金利が一段と上昇する恐れがある。それが米国に波及することを危惧する。
市場では、日銀が9月に利上げするという見方が支配的だ。もちろん、日銀の政策が米国に左右されることはあってはならない。政策金利は1・0%程度で、いまだ緩和的である。元来、物価高対応で後手に回らぬためにも着実に政策金利を引き上げるのが筋だ。長期金利が上昇する中でも利上げするのならば、米国の圧力ではなく日銀の判断だということを、納得できる形で説明する必要がある。
財政運営への警鐘と今後の課題
長期金利上昇は政府の財政運営に対する警鐘でもある。来年度予算の概算要求が過去最大となり、消費税減税などの財源も明確ではない。財政の持続可能性を維持できるかという疑念は市場にくすぶり続けている。ベセント氏は財政拡張と金融緩和型のアベノミクスからの脱却も訴えた。
デフレ、円高、需要不足が問題だった安倍晋三政権時と違い、今はインフレ、円安、供給力不足だ。その中でベセント氏の言う「タカイチノミクス」を確立できるか。世界のインフレに関わるトランプ政権の政策を脇に置いたベセント氏の姿勢はともかく、米国がここまで露骨に日本に注文をつけるのは異例だ。その点を市場は強く意識している。



