総務省は31日、同じ地域の民放テレビ局の経営統合を認める省令改正案を電波監理審議会(総務相の諮問機関)で示した。同日中に省令改正が答申される見通しだ。一つの放送局が複数のチャンネルを持つ「1局2波」が可能になり、系列を超えた再編につながる可能性がある。省令改正は9月中にも施行される方向だ。
マスメディア集中排除原則の見直し
改正するのは、テレビ局に適用される「マスメディア集中排除原則(マス排)」を盛り込んだ関係省令。マス排では、表現の自由と多様性の確保を目的に、特定事業者による複数局の支配を制限しており、同一地域内での経営統合は原則認められていない。
一方、テレビ離れや人口減少、インターネットの普及などで、地方のテレビ局の経営は悪化している。
有識者会議の報告書が後押し
総務省の有識者会議は5月、「地方局の経営の選択肢の拡大のため、地上テレビ放送について、同一放送対象地域内の複数局の兼営・支配を認めることが適当」と指摘し、同じ地域の民放テレビ局による経営統合を容認する報告書案をまとめた。今回の省令改正はこの内容を受けたものだ。
同一県内にある系列の違う二つのテレビ局が合併したり、持ち株会社を設立して傘下に入れたりすることが想定されている。経営統合によって組織や拠点を共通化することでコスト削減が可能になり、番組制作や新たな事業展開に必要な資金の確保などにつながると見込まれている。
統合後も各チャンネル維持へ
報告書案は、放送の「多元性・多様性・地域性の確保に留意」することも求めており、統合後も各チャンネルは維持される見込みだ。
総務省によると、全国の地方局114社の2024年度の営業利益は計250億円で、15年度比57%減少した。東京のキー局と大阪などの準キー局計13社の24年度の営業利益は計642億円で同35%減となっており、地方局の収益の落ち込みが大きくなっている。



