無実の人を誤って有罪にした裁判をやり直す再審の制度が、大きく変わることになった。冤罪被害者の早期救済につなげなければならない。
再審制度見直しの背景と意義
再審制度を見直す改正刑事訴訟法が国会で成立した。これまでは、審理の進め方を定めた法的なルールがほとんどなく、1966年の静岡県一家4人殺害事件では、再審の申し立てから無罪確定まで43年かかるなど、長期化が問題になっていた。無実にもかかわらず、冤罪が晴れるまで何十年も拘束されるのはあまりに理不尽と言うほかない。今回、長すぎる再審を改める仕組みが整備された意義は大きい。
新制度の柱:証拠開示命令と抗告制限
新制度の柱は、裁判所が検察に対し、保管する証拠の提出を命じる規定を設けた点だ。検察はこれまで証拠開示に消極的で、開示を求める弁護側との応酬が延々と続いてきた。迅速に開示されれば、再審の期間は短くなるだろう。どの証拠の提出を命じるかは裁判官の判断に委ねられる。法学者の中には、開示が不十分であれば、かえって制度が後退しかねないと懸念する声が強い。裁判官は、できる限り多くの証拠を速やかに開示するよう、検察に求めることが欠かせない。
裁判所が再審を開始するよう命じた場合、検察が不服を申し立てる「抗告」を原則禁じるルールも導入される。抗告されなければ、直ちに再審公判に移行し、実質的な審理が始まると期待される。法務省は当初、抗告の禁止に強硬に反対した。最終的に、十分な根拠がある場合に限り、抗告が認められることになったが、検察は、組織のメンツのために抗告するということがあってはならない。
残された課題:証拠の第三者提供禁止
改正法にはなお問題がある。再審を訴える元被告や弁護側が、第三者に証拠のコピーを提供した場合に処罰される規定である。これでは、支援者の活動や報道が制限され、再審の手続きが密室化しかねない。証拠は公共財である。国民の「知る権利」を侵害するような規制は容認できない。改正法は5年ごとに見直しが検討される。証拠の第三者提供を禁じた規定は見直すべきである。
新たな冤罪を防ぐ重要性
最近は、検察官が取り調べ中に相手を罵倒するといった問題が相次いで発覚している。過去の冤罪事件の多くは、捜査機関が自白を得るために強引な取り調べをしたことが要因になっている。新しい再審制度の下、冤罪被害者を早期に救済することはもちろん、捜査の適正化を図り、新たな冤罪を生まないことが重要だ。



