高市首相の「経済成長と財政持続性の両立」主張に疑問、内閣府試算の甘い金利前提を指摘
高市首相の財政両立主張に疑問、内閣府試算の金利前提甘く

6月24日に開催された経済財政諮問会議・日本成長戦略会議合同会議で、内閣府は「日本成長戦略の下での中長期的な経済・財政の姿に関する試算」を公表した。この試算に基づき、高市早苗首相は「経済成長と財政の持続可能性の双方が実現できる」と胸を張ったが、慶應義塾大学の土居丈朗教授はその前提に疑問を呈している。

内閣府試算の3つのシナリオ

試算では3つのシナリオが設定された。成長戦略実現ケース①は、官民投資ロードマップに基づく投資効果などが十分発現するケースで、2030年代に実質成長率2%近く、名目成長率3%台半ばに達し、2040年度にはGDPが1100兆円に迫るとされる。このケースでは、国・地方の公債等残高対GDP比が2026年度の約187%から2040年度には170%近くまで低下し続けるとしている。

成長戦略実現ケース②は効果が①より小さく、現状投影ケースは成長戦略の効果がほとんど発現しない想定だ。

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金利データの欠落と甘い前提

しかし、土居教授は「内閣府の試算は粗く、金利に関する情報が一切載っていない」と指摘する。通常の中長期試算では綿密な金利分析が行われるが、今回は欠落している。試算では追加財政支出を毎年度実質10兆円と仮置きしているが、その財源として国債増発が必要となる。公表された財政収支対GDP比を見ると、2026年度は1.5%程度の赤字だが、2040年度には約4%の赤字へ拡大している。財政赤字が拡大しているにもかかわらず、債務対GDP比が低下するのは、名目成長率が高く想定されているためだ。

土居教授は、内閣府が前提とする金利を試算したところ、「国債増発するのに、金利はほぼ同じ」という甘い想定が浮かび上がった。金利が0.5%上振れすれば、債務対GDP比は反転上昇する可能性がある。また、名目成長率が想定を0.5%下回った場合も同様だ。

財政運営目標の変更と成長戦略

今年の「骨太方針」では、プライマリーバランス黒字化目標を外し、「債務残高対GDP比の安定的低下」を財政運営の中核に据える方向だ。同時に「日本成長戦略」では、AI・半導体など17分野で2040年度までに官民総額370兆円超の投資を掲げる。土居教授は「国内投資の促進も経済成長も大切」としつつも、内閣府試算の楽観的な前提に警鐘を鳴らしている。

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