政府が進めるインテリジェンス(情報収集・分析)機能の強化をめぐり、自民党が安全保障目的で広く通信を傍受する「行政傍受」導入の検討を近く政府に求めることがわかった。同意なく通信を監視できる対象が大幅に拡大することから世論の反発も予想され、政府側は慎重に検討する考えだ。
自民が28日にも提言まとめへ
自民は28日にも政府への提言をまとめる。複数の与党関係者が認めた。現在は犯罪捜査を目的に裁判所の令状を必要とする「司法傍受」の仕組みがある。行政傍受は特定の事案に限らず情報収集を可能にする。
海外事例参考に監督制度
自民側は海外の事例を参考に、行政傍受でも一定の監督制度の導入を想定するが、詳細は今後の検討に委ねられており、歯止めとして有効に機能するかは見通せない。提言では、日本の安全保障を脅かすような外国の活動を念頭に、「活動解明に資する通信情報の収集・利用を可能とする制度」として行政傍受の導入を求める。検討の選択肢として、新法「対外情報収集法」の制定と、2025年に成立した能動的サイバー防御(ACD)を可能にする法律の改正の双方を挙げる。
厳格な承認要件を盛り込む
傍受を監督する仕組みとして、対象や事態に応じて行政の承認と司法の関与を必要とする「厳格な承認要件」などを盛り込む。複数の与党関係者によると、行政傍受の対象は当面、外国から日本を経由し別の外国に送られる通信とする方針だ。国内同士の通信は対象外とする。ただ与党内には、国内と海外の通信を対象にすべきだとの声もある。
通信の秘密と世論の反発
行政傍受は、憲法が保障する「通信の秘密」の制約にもつながる。官邸幹部は「導入は目指したいが、一般人の通信が傍受されうる話で、世論の相当な反発があるだろう」と慎重な検討が必要だとの認識を示している。
外国干渉防止法も策定へ
提言ではほかに、外国勢力が国の政策に影響を及ぼすことなどを防ぐための「外国干渉防止法」の策定も盛り込む。外国政府などのために日本国内で政治的な活動をする人の登録義務や、干渉行為への刑事罰で構成される。



