水産庁が7月から「魅了ギョ・プロジェクト」を開始した。低・未利用魚と呼ばれる魚の魅力に光を当て、新たな需要を開拓して沿岸漁業の活性化につなげる取り組みだ。
低・未利用魚の活用で漁業を活性化
「魅了ギョ」とは、とてもおいしく利用価値があるのに、その魅力が十分に知られていない魚種を指す造語だ。こうした不遇な魚たちを流通経路に乗せ、需要を創出することが狙いである。
水産庁は、広域的な需要拡大や持続的利用の可能性が期待できる低・未利用魚として、アイゴ、ボラ、アカエイ、シイラを重点4魚種に選定した。官民で情報発信や商品開発、販路開拓を推進していく。
食害魚の活用で漁場環境を守る
アイゴは背びれの棘が刺さると激しく痛むが、白身魚でおいしい。シイラは全国的な知名度は高くないが、地域によっては食卓に上り、ハワイでは高級魚とされる大型魚だ。アカエイはアサリなどの貝類に食害を起こし、アイゴは海藻を食い荒らして磯焼けと呼ばれる海の砂漠化現象を引き起こす。
これらの食害魚を積極的に漁獲し、商品として安定的に流通させられれば、漁場環境への被害を抑えながら、漁業者の新たな収入源になる。
変化する漁業環境と魚食文化の継承
近年の海水温の上昇などで魚の分布域や漁獲時期が変化している。サンマやスルメイカなどの不漁が続く一方、サワラのように以前よりも北の海域で獲れるようになった魚種もある。
日本の漁業・養殖業の生産量は昭和期末ごろの約1300万トンから減り続け、令和6年には約360万トンとなった。魚食の広がりで世界の水産物生産が伸びているのとは対照的だ。
今回の重点4魚種以外にも魅了ギョの有力候補は多い。ウツボのたたきなどは驚くほど美味で、先行して消費拡大が図られてきたクロダイも魅了ギョの筆頭格である。プロジェクトの普及には学校給食や飲食店で食べる機会を増やすことも有用だ。
海の恵みを無駄なく生かし、漁業と魚食文化を次代へつなぐ取り組みに育てたい。