静岡県とJR東海は2026年7月18日、リニア中央新幹線の静岡工区について、県自然環境保全条例に基づく協定を締結した。品川―名古屋間の沿線都県で唯一着工できていなかった工区で、JR東海の丹羽俊介社長は「一日でも早く工事に着手できるように準備を進める」と述べた。
協定の内容と意義
協定書には、着工後に自然環境に影響を及ぼす事態が発生した場合、工事を中断する条項が盛り込まれた。また、地域振興に向け、産業や観光振興で連携する基本合意書も同時に結ばれた。締結式は静岡県庁で行われ、大井川流域の8市2町の首長や国土交通省の水嶋智事務次官も同席した。
鈴木康友知事は式後、報道陣に対し「(工事への対策など)10年弱にわたり議論を積み重ねてきた。感無量だ」と述べ、「モニタリング体制の中で(工事を)監視していく」と強調した。丹羽社長は「身の引き締まる思い。モニタリングの結果などは適時適切に公表していく」と話したが、具体的な着工や開業時期には触れなかった。
静岡工区の背景
静岡工区は南アルプストンネルの総延長約25キロのうち、静岡県内の8.9キロに当たる。大井川の水量減少への懸念から、前知事の川勝平太氏が2017年に着工を認めない方針を示し、JR東海は2027年の開業目標を断念した。川勝氏の辞任後、鈴木知事が就任し議論が前進。2026年3月には有識者による県専門部会がJR側の対策案を了承し、鈴木知事は同月7日に着工容認を表明していた。
一方、流域8市2町はJR東海と地域振興に関する確認書を締結し、地域連携の枠組みを強化した。



