高市早苗首相は5日の所信表明演説で、外交の基本姿勢として「法の支配に基づく国際秩序」の維持、強化を打ち出した。ただ、トランプ米政権が「解体」を宣言する国際刑事裁判所(ICC)への対応や、悪化したままの中国との関係など課題は山積している。
「自由で開かれた安定的な国際秩序は大きく揺らいでいる」
首相は演説で、「慣れ親しんだ自由で開かれた安定的な国際秩序は、大きく揺らいでいる」との認識を示した。その上で、ICCなどを例示して「我が国は様々な国際裁判所を一貫して支持し、判事を輩出している」と強調。9月の国連総会の一般討論演説で使った表現を踏襲し、日本として「法の支配の重要性を発信する」と述べた。しかし、米国によるICCの赤根智子所長らへの制裁措置には触れなかった。
米国の「解体」圧力、食い止められるか不透明
首相は、9月のトランプ大統領との首脳会談で、ICCを支持する日本の立場を「率直なやりとり」(首相)で説明した。一方で、トランプ氏はICCを「邪悪な集団」と呼び、加盟国に脱退を呼びかけている。さらにICCの組織そのものを制裁対象とすることも懸念されている。
日本は、ICCの問題について、茂木敏充外相とルビオ米国務長官で対応を協議し、ICCが機能不全に陥らないよう、米国に働き掛けを続ける方針だ。外務省幹部は「ICCの関係を日米同盟に影響させないよう、外相レベルに下ろしてうまく管理していく」とするが、米国の「解体」圧力を食い止められるかは不透明だ。
中国とは「戦略的互恵関係」を包括的に推進
また、25年11月の首相の台湾有事をめぐる国会答弁をきっかけに関係が悪化した中国について、首相は演説で、「戦略的互恵関係」を包括的に推進するとした。就任直後の所信表明演説と同じ表現だ。中国は「重要な隣国」であり、今後の関係改善が焦点となる。