ロシアのプーチン大統領が初訪問した北方領土は、北海道の北東に連なる歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島の4島からなる、わが国固有の領土だ。豊かな漁場や美しい火山などがある風光明媚な島々だが、1945年以降80年以上にわたりソ連・ロシアによる不法占拠が続いている。
北方四島の概要と地理
日本政府によると、4島の総面積(約5000平方キロ)は、福岡県や千葉県の面積とほぼ同じ。択捉島と国後島は沖縄本島よりも大きく、それぞれ日本で1、2番目に大きい島だ。北海道根室市の納沙布岬から最も近い歯舞群島の貝殻島まではわずか3・7キロしか離れておらず、目視できる距離だ。
歴史と不法占拠の経緯
北方領土には古くから多くの日本人が渡航し、統治を確立してきた。ロシアの勢力が択捉島の北東にあるウルップ島より南に及んだことはなかった。1855年、日本とロシアとの間に調印された「日露通好条約」(下田条約)は、当時既に成立していた択捉島とウルップ島の間の国境線をそのまま確認するものだった。
北方四島はこれまで一度も外国の領土になったことがない日本固有の領土であり、第二次世界大戦の終戦時には1万7291人の日本人が住み、漁業などが盛んに行われていた。ただ、大戦末期の1945年8月9日、ソ連が日ソ中立条約を無視して対日参戦し、満州や樺太、千島列島へ侵攻。日本の降伏後も攻撃を続け、8月28日から遅くとも9月5日までに北方四島を占領した。現在もなおロシアによる不法占拠が続いている。現在、日本人は一人も住んでいない。
各島の特徴
歯舞群島は、北海道根室半島の納沙布岬の沖合3・7キロから北東方に点在する、貝殻島、水晶島、秋勇留島、勇留島、志発島、多楽島などの島々からなる群島で、面積は95平方キロ。島々はササが茂るゆるやかな丘陵地で、樹木はほとんどない。かつては多くの日本人が居住していたが、現在住民はおらず、ロシアの「警備隊」がいるのみ。周辺は豊かな漁場として知られている。
色丹島は、歯舞群島の北東22キロに位置する面積248平方キロの島。景勝地として知られ、緑におおわれた丘が連なり、高山植物が一帯に広がっている。かつては捕鯨基地も置かれるなど、天然の良港がある。
国後島は、北海道の根室半島と知床半島との中間、沖合16キロの地点から北東に位置する。1489平方キロに及ぶ広大な島で、択捉島に次いで日本で2番目に大きい島(本州を除く)だ。火山島として温泉や景勝地に恵まれ、終戦時には約7400人の日本人が生活していた。北東部には四島の最高峰で、世界で最も美しい二重火山の一つと呼ばれる「爺々岳」がある。
択捉島は、日本の最北端で、日本最大となる3167平方キロの島。国後島と同じ火山島で、1000メートルから1500メートルの火山が連なる。戦前は漁業で栄え、サケ・マス孵化場や缶詰工場、鯨の加工場もあり、鉱山や林業も盛んに行われていた。プーチン大統領が北方領土を初訪問し、択捉島に上陸、実効支配を誇示した。



