防衛省は11日、広島県と同県呉市、日本製鉄との4者協議を開き、呉市の日鉄跡地に造る「多機能な複合防衛拠点」のイメージ図を初めて示した。かつての軍港都市に防衛産業の新たな拠点を造る計画が、具体的に動き始める。
計画の概要とスケジュール
防衛省はこの日、呉市議会にも計画を説明した。この拠点で武器の製造などを担う民間企業の募集も今月から始まっており、防衛省は2028年度以降に施設整備を始めるというスケジュールも示した。
複合防衛拠点は、呉港に面した日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区(日鉄呉)の跡地(約140ヘクタール、東京ドーム約30個分)に造る。防衛省は25年3月、無人機の製造整備や火薬庫、防災拠点などを設ける案を示しており、今回、具体的なイメージ図を初めて示した。製造整備する無人機については「水上・水中無人機等」とした。
土地取得と企業誘致の見通し
防衛省は8月28日、日鉄から土地を取得する契約を結んだ。防衛省によると、跡地全体の一括ではなく、建物が撤去されて更地になったエリアごとに引き渡しを受ける。民間企業の誘致エリアは28年度以降に引き渡される見通しで、防衛省が企業に土地を貸し、施設整備を始める。
防衛装備庁は今月1日、拠点に参入する企業の募集を始めた。自衛隊が使う武器や車両、船舶、航空機、無人機やその部品などの製造・維持整備・研究開発をする企業が対象。27年5月頃に誘致企業を選ぶという。防衛省は「2社以上を想定している」と説明した。
地元の不安と歴史的背景
呉市には戦前、海軍工廠が置かれ、軍港都市として発展した。太平洋戦争の終盤には、海軍工廠だけでなく市街地も激しい空襲を受けた。
市議会ではこの日、議員から「攻撃対象になるのでは」といった不安の声が上がった。



