職員へのパワーハラスメント問題で前職が辞任したことに伴う横浜市長選は4日に告示され、7人が立候補した。7人の人柄や訴えを届け出順に紹介する。投開票は18日。
藤川祥子氏(51)無新 市民団体代表
3代続く「ハマっ子」。人材派遣会社の総務や人事担当としてフルタイムで働きながら2人の子を育ててきた。長男は大学で昆虫を研究し、長女は中学のときに「高校へは行かない」と宣言。いまは専門学校でトリマーの資格取得を目指している。迷い、悩みながらも子どもの選択を最優先に考え、後押ししてきた。
小学校6年生の時に演劇クラブに入ったことを契機に舞台演劇にはまり、市民ミュージカルに出演する表現者としての顔も持つ。みんなで一つのことを作り上げていく楽しさが魅力だという。お笑いと政治ネタのコント作りが息抜きになっている。大きな政党に振り回されることなく、一人ひとりの声がきちんと届く市政、市民が主役の横浜市政の実現を目指したいという。
ズバリ争点は? 市民が主役の市政「市民が主役」の市政を目指す。徹底した情報公開を通じて市政への信頼を取り戻す。
山中竹春氏(54)無前 元横浜市大教授
職員へのパワーハラスメントの責任をとって、5年間トップを務めた市役所を去った。荷物をまとめるとき、辞めることへの実感がわいた。
自身のパワハラ問題の報告書を読み、ハラスメント講習を受けて学んだのは、感情的にならないこと、異論を言える環境をつくること、職員から自身への評価を公表することの必要性だ。「全国で、そういった取り組みをやっている首長さんっていますか」。「加害者としての反省」をハラスメント防止策に反映しなければとの考えに至った。
政策には強い自負がある。やり残した中期計画を自らの手で遂行したい。「人事を尽くして天命を待つ」という座右の銘のとおり、「やれることをやろうと思っています」。息抜きは、立ち食いそばと、猫2匹のくつろぐ様子を眺めること。
ズバリ争点は? 継続か否か「市民目線」「生活者目線」の政策を継続できるか否か。子育てしやすい街、防災、地域の足の充実に重点を置きたい。
中谷一馬氏(43)無新 元衆院議員
中道から立候補した2月の衆院選で衆院議員の職を失った。国会への未練もあるが、悩んだ末、横浜市のリーダーとして自分の政治経験を生かそうと考えた。
小学生のころ、家が生活保護を受けていた。中卒で社会に出てアルバイトをした。時給は当時800円。「8時間働いても6400円。頑張って働いても家族でご飯を食べられないのはなぜか」。社会の矛盾を感じ、18歳で政治の道を志した。
議員をしながら、夜は大学院で学んだ。研究したのが、今回も政策として訴えるネット投票だった。立憲民主党で「次の内閣」の「ネクストデジタル大臣」を担っただけに、デジタルやAIの活用への思い入れは人一倍強い。「AIで横浜市役所を変え、働き方を変え、その恩恵を市民一人ひとりに行き渡らせる」
ズバリ争点は? 6つのゼロ無痛分娩の費用など出産の負担や第2子以降の保育料、給食費、介護離職、カジノ、ハラスメントの六つがゼロの横浜に。
原沢敦美氏(59)無新 弁護士
「やらない後悔よりやる後悔」。座右の銘そのままの半生だ。
20歳の時、トライアスロン挑戦のため、初めて乗った沖縄行きの飛行機で「ふわっと浮く感覚」に感動。当時、女性としては珍しい航空整備士を志す。日本航空の整備部門などで12年働いた後、今度は検事・弁護士になった会社の先輩に憧れ、法科大学院へ。40代で弁護士に転身した。
還暦を目前に、市長選の話が舞い込んだ。50年暮らした愛着あるふるさとが、トップのパワハラで揺れている。悩んだが、同じ川崎汽船の社外取締役の元京都府知事、山田啓二さんから「ありがたい話。残りの人生を横浜のために使ってみては」と背中を押され、三たびの「やる後悔」に踏み切った。趣味は「無心になれる」編み物。愛犬とおそろいの凝ったセーターを編める腕前だ。
ズバリ争点は? 市政の信頼回復職員が安心して働け、市民に信頼される市役所を作れるか。チームを動かす航空整備士と弁護士の両方の経験を生かす。
福山敦士氏(37)無新 スポーツ会社長
青葉区で育ち、市のひとり親支援制度に救われた恩を返したいと、昨夏に続き立候補した。
会社勤めの後、起業を経験し、複数の企業を経営してきた。高校などでビジネス教育も担当する。その経験と手腕を市の財政立て直しに生かしたいと言う。
中学まで市立校に通った経験から、教員の負担軽減のため公立全校への事務補助員の配置、段階的な給食の自校調理など、学校の環境整備を掲げ、その他の子育て支援策も提案する。パワハラ問題の後の「市政改革」として、全ての市職員との面談や、議会との緊張関係の回復による「真の二元代表制」などを主張する。
元高校球児で地方球団も経営。小学生と幼稚園児の3児の父で、趣味は「子どもとのキャッチボール」という。
ズバリ争点は? 市政改革「市政を改革するのか、これまでの継続なのか」が争点。パワハラ問題を受け「風通しの良い組織」を掲げる。
山本理顕氏(81)無新 建築家
北京で生まれ終戦後、日本に引き揚げた。小学生の時からずっと神奈川区で暮らしている。
修学旅行で訪れた奈良で、月夜に見た興福寺・五重塔の美しさに驚き、建築に興味を持った。技術者の父の影響で建築家を志した。建築家も都市計画に関わりたいと、コミュニティーのあり方を考えるために「地域社会圏研究所」を主宰する。
ガラスを多用する横須賀美術館や、教室に幅4メートルのテラスを設けた小学校など「自由に入れる公共建築」をデザイン。建築を通じたコミュニティーの創出が評価され、2024年に建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞した。趣味は「みんなで一緒に(お酒を)飲むこと」と「仕事が趣味で、どこまでが仕事かわからない」と笑う。
ズバリ争点は? 地域社会づくり未来の横浜に、助け合って住む地域社会をつくる。建築家と大学教授の実績から実現する。
浅賀由香氏(46)共新 党県副委員長
長時間労働の是正や賃上げを通じ「8時間働けばふつうに暮らせる社会」を長年訴えてきた。これまで国政に6回挑戦した。
深夜残業、休日出勤が当たり前だったシステムエンジニア時代に、能力のある同僚が働き過ぎで心身を壊し会社を去る姿を見て、状況を変えたいと政治の道に入った。
5歳と11歳、14歳の3人の子を育てている。「ワンオペ育児」など、親にのしかかってくる問題を解決したいという。学生時代、交通事故で母と兄妹を亡くした。母の葬儀で、共産党員だった母の地域活動が多くの人に感謝されていると知り、自身も「感謝される生き方をしよう」と誓った。子どもたちと「一緒にほっとする時間」を大切にしている。料理する時間が楽しい。
ズバリ争点は? 横浜を人権都市に横浜を世界水準の人権都市へ。ハラスメントのない横浜市政に改革できるか。人権、ジェンダー平等に本気で取り組む。