東京大学の次期学長に選出された大学院総合文化研究科の藤垣裕子教授(64)が29日、東京都文京区の東大本郷キャンパスで記者会見を開き、「世界の学術を牽引していくことで、東大の国際的・社会的な役割を果たしていきたい」と抱負を語った。
東大初の女性学長、来年4月就任へ
藤垣氏は、藤井輝夫学長(62)の任期満了に伴い、学内外の委員16人で構成する学長選考・監察会議で28日に選出された。任期は来年4月からの6年間。東大で女性が学長となるのは初めて。
藤垣氏は会見で、「来年150周年を迎える東大で、ようやく女性の学長を生み出したことは、社会に対してかなりのメッセージ性がある」と述べた。
不祥事への対応と選考過程の説明
医学部付属病院の汚職事件など相次ぐ不祥事に対しては、「部局や職種など縦割りの弊害をなくしながら、藤井学長のガバナンス(組織統治)改革を発展させたい」と強調した。
一方、選考過程で行われた教職員の意向投票で藤垣氏は2番手だった。結果について、会見に同席した学長選考・監察会議議長の国谷裕子氏(元NHKキャスター)は「選考の一つの情報」と説明した。また、藤垣氏が女性であることは「議論の対象にならなかった」と述べた。
国谷議長は、藤垣氏の専門が科学技術社会論であることを踏まえ、「科学技術を社会に伝えるコミュニケーション力を生かし、学術への信頼を回復する強い意志と能力を備えている」と評価し、総合的に判断したと繰り返した。
文科相も説明求める
国立大の学長選出にあたり、文部科学省は外部の視点を大学経営に取り入れるため、意向投票の結果だけで結論を出さないよう求めている。昨年9月の新潟大や今年6月の京都大の学長選考でも、1番手だった候補者が選ばれなかった。
関文科相は29日の閣議後記者会見で、藤垣氏の選出について、「今回なぜそのような判断をしたのか、学内にしっかりと説明する必要がある」と述べた。