チケットの高額転売問題に対処するため、政府は「特定興行入場券」の指定範囲を拡大し、罰則を強化する方向で検討を進めている。2026年通常国会への関連法案提出を目指し、文化庁が中心となって制度設計を急ぐ。
規制の現状と課題
現在、特定興行入場券に指定されているのは、オリンピックやワールドカップなど一部の大規模イベントに限られる。しかし、人気アーティストのコンサートやスポーツの決勝戦など、一般の興行でも高額転売が横行しており、ファンからは「定価で買えない」「転売ヤーに泣かされている」との声が相次いでいる。
文化庁の担当者は「現行法では転売防止の実効性に限界がある。対象範囲を拡大し、違反者への抑止力を高める必要がある」と述べている。
法改正のポイント
政府が検討する法改正の主な内容は以下の通り。
- 特定興行入場券の指定対象を、定価を超える価格での転売が頻発する興行全般に拡大
- 転売目的での購入を禁止し、違反した場合の罰金を現在の50万円以下から100万円以下に引き上げ
- 転売サイト運営者に対し、出品者の情報開示を義務付け
これらの措置により、転売行為そのものを抑制するとともに、転売が行われた場合の摘発を容易にする狙いがある。
業界団体の反応
音楽業界やスポーツ団体からは法改正を歓迎する声が上がっている。日本音楽事業者協会は「ファンが適正な価格でチケットを購入できる環境整備は喫緊の課題。法改正を強く支持する」とのコメントを発表した。
一方、転売サイト運営者からは「過度な規制は自由な取引を阻害する」との懸念も出ている。政府はパブリックコメントを実施し、利害関係者の意見を反映させる方針だ。
今後のスケジュール
政府は2025年度中に有識者会議を設置し、具体的な制度設計を議論。2026年通常国会への法案提出を目指す。成立すれば、公布から1年以内に施行される見通し。
文化庁は「転売対策はファンだけでなく、興行主やアーティストの利益にもつながる。実効性のある制度を早期に実現したい」と意気込みを示している。



