18日投開票の横浜市長選で、自民党、日本維新の会、国民民主党、公明党の地元組織が推薦・支持した弁護士の原沢敦美氏(59)が、前市長の山中竹春氏(54)ら6人を破り、初当選を決めた。前市長のパワーハラスメント問題で揺れる市政の立て直しに、市民はコンプライアンスに精通する原沢氏の手腕に託した。
4党の支援と組織力で選挙戦を優位に
当日有権者数は310万8312人、投票率は45.56%で、2025年8月の前回選を3.92ポイント上回った。午後8時過ぎ、横浜市中区の事務所に当選確実の一報が伝わると「おー」と歓声が起こった。原沢氏は拍手に包まれ会場に入ると、支援者と万歳三唱し、「無名の私が当選できたのは、支えてくださった多くの方のおかげだ」と感謝した。
市長として、高齢者施策や子育て支援、防災や物価高対策などの課題に向き合うと強調。「たくさんの業界、市民の方に支援をいただいたのは、たくさんの意見を聞き、市民の目線でものを考えろということだと思う」とかみしめた。
初めての選挙で知名度不足、街頭演説にとまどう場面も
山中氏の辞職後、いち早く出馬を表明。弁護士として企業法務を務めた経験から、「チームワークやコンプライアンスの重要性を学んできた」と訴えた。ハラスメントを許さない職場環境を作り、「市職員の笑顔を取り戻して市民の笑顔につなげる」と呼びかけた。
初めての選挙で、陣営には当初、知名度不足への懸念があった。本人が街頭演説にとまどう様子もみられ、「政策があいまいだ」との指摘も受けたが、弁護士らしく「数字とエビデンス(根拠)をもって分析して決める」などと反論した。
推薦・支持を出して支えた自民、維新、国民、公明の4党もフル稼働し、票の上積みを図った。昨年8月の市長選で山中氏を支援していた地元経済界の多くも原沢氏の支援に回り、他候補と比べると強固な「組織力」で選挙戦を優位に進めた。片山財務相や維新の吉村代表ら大物弁士も応援に駆けつけバックアップ。山中氏への批判票の受け皿ともなった。
山中氏、パワハラ問題の逆風を覆せず
「応援してくださった皆様のご期待に添うことができず、本当に申し訳なく思う」。山中氏は横浜市中区の事務所に集まった20人ほどの支援者らに頭を下げた。その後、報道陣の取材に応じた山中氏は、「私が行ってきた政策や、私の言動をどう改善していくのかが伝えきれなかった」と説明。原沢氏に対しては「市民生活の安心安全の実現、横浜のさらなる成長、発展の実現に貢献していただくことを期待する」と語った。
街頭演説では自身が招いたパワハラについて、「本当に申し訳ございませんでした」と謝罪。「自分自身の行動を改めて、皆様のために働きたい」と何度も反省の意を示した。ただ、昨年の前回選で支援を受けた政党や後援会役員の多くは去った。
力点を置いて訴えたのは、小児医療費の無償化や中学校の全員給食を実現させるなど、5年間の実績だった。「生活者目線の市政を進めなければならない」とし、市内の鉄道駅やバス停から遠い場所に移動手段を新しく作る政策に取り組むとも強調した。
さらにIR(カジノを含む統合型リゾート)について、「カジノを再び誘致する動きがある」と訴え、支援した横浜港運協会会長の藤木幸太氏も「カジノ誘致を止められるのは山中さんしかいない」と呼びかけた。5年前と同じように争点化を狙ったが、すべての候補が誘致を明確に否定したことで大きなうねりにはならなかった。