沖縄知事選、離島振興が焦点に 渡名喜村は職員20人体制で兼務常態化
沖縄知事選、離島振興が焦点 渡名喜村は職員20人体制

沖縄県には本島以外に38の有人離島があり、県人口の約1割に当たる計約12万人が暮らしている。本土と沖縄の格差が指摘される中、離島はさらなる格差「島ちゃび(離島苦)」を抱える。13日投開票の県知事選では、産業やインフラの維持、生活支援といった課題が山積する離島の振興策も焦点となっている。

製糖工場の赤字が深刻な伊平屋村

沖縄県最北端にある人口約1200人の離島自治体・伊平屋村。農家の男性(64)は「製糖は島を支える基幹産業。工場がなくなれば死活問題だ」と険しい表情で語った。

伊平屋村は、1972年の本土復帰後も漁港整備などが本島より遅れた。観光分野を含めて産業が育たず、若者の島外流出に歯止めがかからない。村が所有する製糖工場も人手不足などで経営が振るわず、赤字が深刻だ。2021年以降は、工場の生産設備の不具合で黒糖に鉄粉が混入して一時操業停止が繰り返され、経営の逼迫に追い打ちをかける。

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こうした事態を受け、村と指定管理契約を結ぶJAおきなわ(那覇市)は村に対し、生産設備の修繕や製品の廃棄などで発生した損害の補填を求める調停を那覇簡裁に申し立てた。村議会は今月7日の臨時会で、JA側に6500万円を支払う調停案を可決した。

真栄田孝村長(44)は「村で運営する選択肢もあるが、技術的にも人員的にも難しい。島の自立した経済のためにも何とか工場を守り抜きたい」と語る。

深刻な人口減と職員不足が続く離島自治体

小・中規模の離島自治体に共通する課題は、深刻な人口減だ。県によると、石垣市、宮古島市を除く県内13の離島自治体の昨年の人口は約2万2000人で、本土復帰後の1975年(約3万2000人)から約3割減った。同期間で約1・5倍に増えた本島とは対照的だ。

人口約280人で県内最少の離島自治体・渡名喜村は、村職員(定数27人)の慢性的な不足に悩む。昨年度は一時、17人にまで減った。職員1人が複数の業務を兼任する行政運営が常態化し、空き家活用など新規事業の実施が数年遅れる事態に陥った。

危機的な状況の中、県は昨年度から県職員1人を応援で派遣。今年度は民間からの派遣もあり、現在20人体制となっている。同村の上原貞則・総務課長(51)は「既に始めた事業を維持、継続する最低限の人員は確保できたが、新たな事業に取りかかるほどの余裕はない状況だ」と頭を抱える。

主要候補2人の離島振興策

知事選の主要候補2人も離島振興策を重視している。新人で前那覇市副市長の古謝玄太候補(42)は、国とのパイプを生かした沖縄振興予算の増額を掲げ、「空港、港湾など社会基盤を整備し、交通、物流コストも下げる」と主張する。

現職の玉城デニー候補(66)は物流や燃料のコスト助成、職員採用や行政サービスの効率化に関する支援継続などを訴え、「福祉、介護、教育体制を充実させる」と強調する。

離島振興に詳しい沖縄国際大の宮城和宏教授(経済学)は「離島の中でも、特に沖縄は輸送コストが高いなど地理的不利が大きく、他地域と同じような産業振興が難しい」と指摘。その上で「行政には、不利の解消、軽減とともに、付加価値の高いハイテク分野の商品やサービスを開発する起業支援といった取り組みが求められる」としている。

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