ドイツ連邦検察は、対外情報機関である連邦情報局(BND)のハニング元長官を、スパイ行為や国家反逆未遂の容疑で逮捕した。元長官は、BNDに今春まで勤務していた元部下に金銭を渡し、機密文書を入手していた。元部下も逮捕されている。
元長官と元部下の関係
元長官は1998年から2005年までBND長官を務めた。当時はロシアのプーチン政権に融和的だった社会民主党(SPD)のシュレーダー政権時代にあたる。長官退任後は、独内務省高官を経てコンサルタント業に転身していた。
元部下から約12年間にわたり入手した機密情報は約2千件に上る。イランの核開発計画やロシア軍に関する情報も含まれていたという。情報の提供先として、アゼルバイジャンの情報機関が取り沙汰されている。
西側への衝撃と改革への影響
元長官はロシアを最低7回訪問したともいわれ、中国を訪れ、ドイツ駐在経験のある中国人武官と接触したとも報じられている。西側陣営と対峙する中露の関係者らに機密情報を提供していたなら、深刻な事態だ。
今回の情報漏洩は、BNDにより広い権限を与える改革を進める最中に発覚した。外国勢力や過激派の脅威に対抗するため、早期の改革実現が叫ばれていた。今後の議論に影響を及ぼす恐れがある。
事件は西側陣営に衝撃を与えている。ドイツの協力国から提供された情報が漏洩した可能性もあり、こうした国々がドイツとの協力に二の足を踏みかねない。西側の情報共有体制が損なわれる恐れがある。
日本への教訓とスパイ防止法の必要性
この事件は、日本も他山の石とすべきだ。諜報活動を取り締まるスパイ防止法の成立が焦眉の急である。野党の一部から国民監視につながるとの批判があるが、的外れだ。先進各国もスパイ防止の法制を有しており、これらの国々が民主主義を蔑ろにしているわけではない。国家国民を守るため、日本にも法整備が必要だ。