北九州市立高校で2023年4月に民間人校長として就任した増田順さん(58)は、頭髪・服装検査をやめ、スマートフォンの取り扱いなどのルール作りを生徒に委ねる「生徒ど真ん中」の学校改革を進めている。増田さんは「挑戦の機会を提供することが、大人や社会の役割だ。経験が何よりの学びになる」との信念のもと、生徒の自主性を重んじる校風を根付かせている。
民間企業の社長から校長に
増田さんは33歳で初めての会社を起業し、その後医療設備メーカーの社長を務めるなど経営者として歩んできた。53歳で若手の起業を支援する会社を設立。そこで関わった経営者に「新たな挑戦」と勧められたのが、北九州市が初めて実施した民間人材の校長公募だった。
応募者489人の中、生徒へのプレゼンテーションで「学びの場を教室だけにしない」という考えを伝え、「大人や社会との接点を作り、将来のキャリアを考える機会を増やしていく」と訴えた。面接などを経て、2023年4月に校長に就任した。
「生徒ど真ん中」の学校改革
就任当初、学校現場で疑問に感じたのは、指示を出す教員と、それを受けて行動する生徒という一方通行の関係だった。「これでは生徒の生きる力を育むことはできない」と考え、全校生徒への最初のあいさつで「自分たちが胸を張れる学校のカルチャーを作ってほしい」と呼びかけた。
毎月実施していた頭髪と服装の検査をやめ、校内でのスマートフォンの取り扱いなどのルール作りを生徒たちに任せた。職員室そばの廊下には、生徒が企画した取り組みのポスターが掲示され、「ラジオに参加しませんか」「名前と背番号のプリント受け付けています」といった案内が並ぶ。
生徒の声に手応え
主体性重視の校風が根付き、生徒から「挑戦しないと市高生じゃない」という声を聞くと「うれしくなりますね」と目を細める。増田さんは「学校が生まれ変わるスタートラインに立ったばかり」と語り、今後も挑戦の機会を提供し続ける考えだ。