仏暴動、マクロン政治の必然の帰結と東大教授 譲歩繰り返した歴史に断絶
仏暴動、マクロン政治の必然の帰結と東大教授 譲歩繰り返した歴史に断絶

フランス全土に広がるデモでは、便乗した暴徒が市庁舎を燃やすといった暴動が起きた。政権は極左が絡んだと示唆するが、なぜこれほど暴力的な光景がフランスを覆ったのか。東京大学の中山洋平教授(欧州政治史・フランス政治)は「マクロン政治の帰結だ」と話す。

「質的に断絶がある」と専門家

今回のデモについて、中山教授は「似たような暴力はここ数年、目立ってきていたが、今回のような規模になると、これまでとは質的に断絶があると感じる」と受け止める。

「この20年で警察の対応はものすごく強化されており、激しい破壊活動は警察の暴力への対応という側面もあります。ただ、今回の事態は、マクロン大統領の路線による一つの論理的な帰結と考えた方がいいと思います」

過去の政権は譲歩を繰り返してきた

フランスでは1980年代半ばごろから、グローバル化に伴って労働市場の規制緩和や年金の圧縮など、国民にとってマイナスな改革をしようとするたびに、デモによる抗議運動が爆発してきた。

抗議が一定の水準に達すると、政権は改革を撤回するなどの譲歩を繰り返してきた。世論の反応を見ながら少しずつ改革を進める政権との間に対話が成り立っている状態だったという。

一方でそれは、経済や財政の改革がフランスで進まなかったということでもある。

「民の声を聞かない」マクロン路線

市場化の度合いで見ると、フランスの改革は進んでおらず、そのしわ寄せが今回の暴動につながったとみられる。中山教授は、マクロン大統領が「民の声を聞かない」路線を取ってきたことが、事態の背景にあると指摘する。