正倉院展で「用」と「美」の工夫を 赤膚焼窯元・大塩さんが語る宝物の魅力
正倉院展で「用」と「美」の工夫を 赤膚焼窯元・大塩さんが語る

奈良市の奈良国立博物館で24日に開幕する「第78回正倉院展」(読売新聞社特別協力)に、天平文化を伝える宝物が出展される。奈良県内の人々に宝物の魅力を語ってもらう企画で、今回は赤膚焼窯元の大塩正さん(61)が登場した。

伝統の技を受け継ぐ窯元

大塩さんは奈良伝統の陶芸・赤膚焼の八代目である大塩正人(まさんど)を父に持ち、祖父と父から技を学んだ。奈良市の窯から2019年に奈良県下市町へ移住し、「自然の音を聞きながら制作していると、心が安らかになりますね」と話す。

正倉院展を鑑賞するたびに「昔の職人は命を削って作っているなぁ」と感心するという。見えないところにも力を注いでいることがわかり、大いに刺激を受けると語る。

注目の宝物:漆胡瓶と白瑠璃瓶

今回見たい宝物の一つは漆胡瓶(しっこへい)。形のおもしろさに触れ、「頭は鳳凰、首は鶴を模して吉祥を表しているのではないでしょうか」と推測する。銀で細かく施された文様も見どころだが、貴人が使うための持ち手や注ぎ口の工夫を確かめたいと話す。触ることはできないが、「水や酒を入れても持てるよう、軽く作られているのではないでしょうか」と想像を膨らませる。

また、白瑠璃瓶(はくるりのへい)にも注目する。注ぎ口の先端は水が垂れないような加工が施されていると考え、持ち手の上にある装飾のようなこぶは、つかんだ時に親指で押さえて安定させられるよう工夫したのではないかと推測する。

「用」と「美」を兼ね備えた制作

大塩さんは「私たちは日々、『用』と『美』を兼ね備えた制作を心がけています」と説明する。見た目の美しさやバランスはもちろん、持ちやすさ、使い勝手、収納の利便性も大切だという。完成までにゆがんだり縮んだりする収縮率も計算に入れる必要があり、「それは漆やガラスでも同じでしょう」と語る。

最後に「正倉院展ではみなさんも、隠れた工夫と技を発見してほしいですね」と呼びかけた。