トランプ氏支える「新使徒運動」指導者チェ・アン氏とは何者か
トランプ氏支える「新使徒運動」指導者チェ・アン氏とは

トランプ大統領の政治運動「MAGA(米国を再び偉大に)」を「もう一つのMAGA」が支えている。「米国を再び神の国に(Make America Godly Again)」――国家や社会を宗教的価値観に基づき再編しようとする「キリスト教国家主義」の勢力だ。

トランプ氏の共和党は長く「宗教右派」「福音派」などとくくられる保守的なキリスト教徒を支持基盤としてきた。古めかしい信仰を守る白人信徒という固定観念を抱かれがちだが、実際にはそれでは捉えきれない形で進化している。

2020年の大統領選で敗れ、再起はないとさえ思われたトランプ氏の復権は、こうした支持層を抜きには語れない。そして11月の中間選挙の鍵をも握っている。

「新使徒運動」とは何か

中でもトランプ政権と深いつながりを持ち、米政界に強い影響を及ぼすようになった先鋭的な勢力が「新使徒運動(New Apostolic Reformation=NAR)」だ。現実に起きていることを神の預言が文字通り現れたものだと確信し、政争ですら悪魔との霊的な戦いの一環とみなす。2021年1月の米連邦議会議事堂襲撃事件への色濃い影響も指摘されている。

NARの中心的指導者の一人が、韓国系米国人のチェ・アン氏(70)だ。中間選挙を2カ月後に控えた9月上旬、アン氏がインタビューに応じた。アン氏は2時間にわたって落ち着いた物腰で取材に答え、連邦議会議事堂襲撃事件の前後の自らの行動についても語った。

「アメリカン・ドリーム」の軌跡

アン氏の人生は、ある意味で「アメリカン・ドリーム」だ。日本統治下の平壌で生まれたアン氏の父は、朝鮮戦争の休戦後、韓国に脱出。アン氏が生まれ、米国に渡った。そしてアン氏は一代で「米国、ことによると世界で最大の『使徒ネットワーク』」(NARに詳しい研究者マシュー・テイラー氏)を築き上げた。

2026年5月、ワシントンで開かれた「再奉献250 祈りと賛美、感謝の国家記念式典」はキリスト教国家主義が色濃く出たイベントだった。参加者は「イエスよ、米国を再び神の国にして下さい」と記した旗を掲げていた。