米国で麻疹(はしか)の感染が拡大している。2000年に「排除」を宣言した米国だが、ワクチン接種率の低下などを一因に、過去35年で最多を記録した。「反ワクチン」として知られるロバート・ケネディ・ジュニア保健福祉長官の影響も指摘され、11月の米中間選挙ではトランプ政権の公衆衛生政策の評価も問われている。グローバルに人が往来する現代では、感染症は日本も無関係ではない。
今年の感染者数は4千人超、35年で最多
米疾病対策センター(CDC)によると、今年10月時点のはしかの感染者数は4千人を超えた。米国では1990年代以降にはしかの感染者数が減少し、2000年には世界保健機関(WHO)の基準に従い、継続してウイルスが存在しなくなった「排除」を宣言。しかし、WHOは今秋に再検証する見込みで、取り消されるおそれもある。25年から26年にかけて感染者の多い州も目立つようになっている。
ワクチン接種率の低下が一因に
一因とされているのが未就学児のMMRワクチン(はしか、おたふくかぜ、風疹混合ワクチン)の接種率の低下だ。26年に確認された感染者のうち95%は未接種か接種歴がわからない人だった。
CDCによると、19~20学年度(その年の秋時点での在籍者)の幼稚園入園児のMMRワクチン接種率は95.2%だったが、トランプ第2次政権下の25~26学年度は92.4%に低下。はしかの流行を阻止するのに必要とされる95%の接種率に届いていない。接種率が90%未満の州は19~20学年度は3州だったが、25~26学年度では18州に広がっている。
現場の医師が語る家族の戸惑い
全米で今年最もはしかが流行している米東部ペンシルベニア州にあるペン・メディシン・ランカスター総合病院のピア・フェニモア小児科副部長は「どの情報を信頼すべきか迷っているようだ。ワクチン接種の安全性や有効性について、明確な説明を求めてくる家族が増えている」と話す。
はしかは手洗いやマスクでは防ぎにくい、強い感染力を持つウイルス。発熱など風邪に似た症状が出るが、重症化すると肺炎や脳症を起こし、1千人に1人が亡くなる。感染予防にはワクチンが有効で、2回の接種で95%以上の予防効果が期待できる。回復して数年~10年後に重い知的障害や運動障害が出る「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」を発症することもある。
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