ウクライナ、ロシア産ガス経由停止で欧州へのトランジット終了
ウクライナ、ロシア産ガスの欧州トランジット停止

ウクライナは2025年1月1日、ロシア産天然ガスの欧州向けトランジット(通過)を正式に停止した。ウクライナのデニス・シュミハリ首相が同日、自身の公式テレグラムチャンネルで発表した。これにより、ウクライナ経由で欧州に供給されていたロシア産ガスは完全に途絶えることになる。

背景:ウクライナとロシアのガス協定失効

ウクライナはロシアと2019年に結んだ5年間のガス通過協定の期限が2024年末で切れることを受け、更新しない方針を明確にしていた。シュミハリ首相は「ロシアのウクライナ侵略が続く中で、通過協定の更新はあり得ない」と強調。ウクライナ政府は、ロシアがガス収入を戦費に充てているとして、協定延長を拒否してきた。

ロシアのガスプロムは協定失効後も、ウクライナ経由でのガス供給を継続する用意があると表明していたが、ウクライナ側が受け入れなかった。ガスプロムのミハイル・ポドゥブニー広報部長は「ウクライナの決定は、欧州のガス市場を不安定化させるものだ」と批判している。

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影響:欧州のエネルギー価格上昇の懸念

今回のトランジット停止により、ウクライナ経由でガスを受け取っていた欧州諸国、特にスロバキア、オーストリア、イタリア、ハンガリーなどは代替供給源の確保を迫られる。年間約150億立方メートル(bcm)のガス供給が失われることになり、これは欧州連合(EU)全体の年間ガス消費量の約4%に相当する。

欧州の天然ガス価格はすでに上昇傾向にあり、2024年12月のTTF(オランダ天然ガス先物)は前年同月比で約30%上昇している。アナリストは、今回の停止でさらに価格が高騰する可能性があると警告する。エネルギーコンサルタント会社「リスタッド・エナジー」のシニアアナリスト、カール・ハーゲン氏は「冬場の需要ピーク時に供給が減ることで、欧州のガス貯蔵量の減少と価格高騰を招く恐れがある」と指摘する。

ウクライナの代替案:自国産ガスとバイオガスへの転換

ウクライナ政府は、ロシア産ガスへの依存から脱却し、自国産ガスやバイオガスなどの再生可能エネルギーへの転換を進める方針だ。シュミハリ首相は「ウクライナは自らのエネルギー資源を活用し、欧州のエネルギーハブとなる可能性を秘めている」と述べ、国内のガス生産量増加やバイオガスプラントの建設を促進すると表明した。

ウクライナは2024年に国内ガス生産量を約190億立方メートルに増やしており、2025年には200億立方メートルを目標としている。また、欧州連合(EU)からの支援を受け、バイオガスや水素などのクリーンエネルギーへの投資も計画している。

国際的な反応と今後の見通し

EUはウクライナの決定を支持する一方、影響を受ける加盟国への支援を表明している。EUのエネルギー担当委員は「EUはガス供給の多様化を進めており、今回の事態は予見されていた。代替供給ルートの確保と貯蔵量の管理で対応する」とコメントした。

一方、ロシアは新たなガス輸出ルートとして、トルコ経由の「トルコストリーム」パイプラインや液化天然ガス(LNG)の増産で対応する方針だ。ロシアのノバク副首相は「ロシアは他の市場への輸出を増やすことで、ウクライナ経由の減少を補う」と述べている。

ウクライナのトランジット停止は、ロシアのウクライナ侵略が続く中でのエネルギーの武器化として、今後の欧州のエネルギー安全保障に長期的な影響を与えるとみられる。

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