共和党「無敵の七人」がトランプ政権を揺さぶる?上院予備選の行方
共和党「無敵の七人」がトランプ政権揺さぶる?

アメリカ政治は今、共和党内の「七人の侍」とも言うべき存在がトランプ政権を揺るがすかもしれない。2016年の映画『マグニフィセント・セブン』のタイトルが示すように、引退を決めた共和党上院議員たちが「失うものは何もない」状態で造反の可能性を秘めている。

注目の予備選挙スケジュール

共和党側で注目されるのは、7月21日のアリゾナ州予備選挙だ。知事選に挑戦する候補者は穏健派のデイビッド・シュワイカート下院議員か、それともMAGA派のアンディ・ビックス下院議員か。ここも激戦州なので、「トランプ路線はアリゾナでも通用するのか?」が問われることになる。

ほかにも8月11日のミネソタ州(民主党の現職上院議員が引退し、与野党激突の見込み)、8月18日に行われるフロリダ州(トランプ大統領のおひざ元で、政権に多数の人材を送り込む)などの予備選挙が注目を集めている。掉尾を飾る9月15日のデラウェア州予備選まで、目が離せない日々が続く。

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「YOLO議員団」の台頭

当欄の「トランプ大統領の『復讐劇』成功は逆に『造反ドミノ』のおそれ、アメリカの財政問題がだんだんと心配になってきた」(5月23日配信)では、トランプ大統領が予備選挙でMAGA派候補を応援するものだから、現職の複数の共和党大物上院議員が「今期限り」となっていることをご紹介した。ルイジアナ州のビル・キャシディ上院議員、テキサス州のジョン・コーニン上院議員は、お気の毒にも「一丁上がり」となってしまった。逆に言えば、お二人は年内いっぱいの任期中「怖いものなし」になったとも言える。

そうでなくても現職上院議員の中には、今期限りで引退を決めているミッチ・マコーネル(ケンタッキー州)とトム・ティリス(ノースカロライナ州)がいる。彼らに対して、”The YOLO Caucus”(YOLO議員団)なる綽名が冠されている。YOLOとは”You Only Live Once.”(人生は一度きり)の略だ。それまで党の圧力やトランプ氏の意向に縛られていた共和党の議員さんたちが、「もう失うものは何もない」とばかりに、自分本来の信念に基づいて発言・行動できるようになったことを指す。ベテラン議員が多いから、日本風に「養老議員団」と呼ぶのもアリだろう。

イラン戦争権限決議での造反

現に6月23日には、上院は初めて「イラン戦争権限決議」を可決している。「1973年戦争権限法」に基づき、トランプ大統領に対してイランでの戦争を停止するか、軍事行動を継続する前に議会の承認を求めるよう決議したものだ。かならずしも法的強制力はないのだが、上下両院がそろって「イラン戦争をやめろ」と大統領に突き付けた意義は小さくない。この決議は賛成50、反対48で可決されたが、4人の共和党議員が「造反」している。

今後の波乱要素

こうした動きは、共和党の「無敵の七人」がトランプ政権を揺さぶる可能性を示唆している。予備選でMAGA派が勝利すればトランプ路線が強化されるが、引退議員の造反が続けば政権運営に支障をきたす。特に財政問題や外交政策で亀裂が深まる恐れがある。アメリカ政治は、夏から秋にかけて目が離せない展開を迎えている。

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