スイスの中立とは何を意味し、今回の国民投票によって何か変わるのか――。スイスを代表する歴史学者でベルン大学教授のサシャ・ザラ氏に聞いた。
中立の歴史的起源
スイスの中立を理解するには歴史を知る必要がある。1815年、ヨーロッパの列強はスイスの中立を認めた。列強側には互いを牽制し、どの大国にもスイスを支配させない意図があり、スイスにとって中立は独立を守るための外交手段だった。1848年に近代的な連邦国家が樹立され、中立の原則は憲法に盛り込まれた。
第1次世界大戦で変わった意味
その意味が変わったのは第1次世界大戦のときだ。スイスには複数の言語や宗教があるが、当時、フランス語圏ではフランスを、ドイツ語圏ではドイツを支持する声が強まっていた。政府関係者らがドイツ寄りと受け止められる行動をとると、フランス語圏の国民から反発が高まり、対立が激化した。
そんな中、両者が一致できた点があったという。
「より厳格な中立」を求めるスイスの国民投票は否決され、対ロシア制裁姿勢が問われている。