米国がイスラエルとともに中東の大国イランへの攻撃を始めてから28日で半年となる。開戦当初は最長4週間とされていたが、戦争は泥沼化し、出口はいまだ見えない。それどころか、世界経済全体にさらに混乱が広がる様相となった。
米国がイランへの二次制裁を強化
ベッセント米財務長官は、イランとの取引を続ける国や組織に大規模な二次制裁を発動すると発表した。「イランに残された選択肢を根絶やしにする」と述べ、イラン産原油の輸入に関与した企業などに新たな制裁も科した。
米国では、空爆でイランを屈服させるのは容易ではないとの見方が広がっているが、地上部隊の派遣には反対論が強い。イラン経済への締め付けを強化するのは、大規模な軍事作戦に逆戻りできない手詰まり感の表れと言える。
制裁の効果に疑問、インフレ加速も監視すり抜け
だが、米国の新たな制裁の効果には疑問がある。イラン経済が疲弊しているのは事実だ。7月発表の物価上昇率は年平均66%で、インフレが加速している。それでもイランは架空名義での取引などで監視をすり抜けてきた。中国とロシアも制裁下のイラン経済を下支えしている。
ベッセント氏は新たな制裁について「いかなる者も例外とはならない」と主張している。中露を念頭に置いているとみられるが、日本も対象とされかねず、懸念を抱かざるを得ない。
原油価格の高止まりと地域の不安定化
イランのホルムズ海峡封鎖で、原油価格は攻撃開始前の1バレル当たり60ドル台から、現在は85ドル程度と高止まりが続く。イランは今後も海峡封鎖を外交の切り札として利用しようとするだろう。
戦争は中東の安定を根底から覆している。イランは米国の攻撃への報復として米軍施設のあるサウジアラビアなどを攻撃し、エネルギー施設が被害を受けた。
サウジは今月、パキスタン、トルコと防衛協定を締結した。いずれか1か国への攻撃を3か国すべてに対する攻撃とみなすと規定している。米国への信頼が低下したことが、地域大国の合従連衡を促したとみられる。
対イラン作戦の長期化に伴い、米軍が兵力を中東に集中させ、他の地域での抑止力が低下すれば、中東ばかりか世界全体を不安定化させる恐れがある。
米国とイランは6月、戦闘終結に向けた14項目の覚書を結んだ。その後の戦闘再開などで事実上効力を失ったとの見方もあるが、覚書に立ち返る以外、打開の道筋は残されていないのではないか。



