宮田律氏が語る中東情勢と日本のエネルギー戦略の課題
宮田律氏が語る中東情勢と日本のエネルギー戦略

中東情勢に詳しい国際政治学者の宮田律氏(獨協大学教授)は、最新の地政学的リスクと日本のエネルギー戦略について警鐘を鳴らしている。同氏によれば、中東の不安定化が長期化する可能性が高く、日本はエネルギー安全保障の抜本的見直しを迫られている。

中東情勢の現状とリスク

宮田氏は、イスラエルとパレスチナの衝突拡大やイランの核開発問題など、複数の火種が同時に燃え上がっていると指摘。特に「イスラエルのガザ侵攻が長期化し、周辺諸国との緊張が高まっている」と述べる。これにより、ホルムズ海峡の封鎖リスクが現実味を帯び、日本の原油輸入の約80%を依存する中東からの供給が脅かされる可能性がある。

さらに、サウジアラビアとイランの代理戦争とも言えるイエメン内戦や、シリアの混乱も続いており、中東全体の安定は見通せない。宮田氏は「米国の影響力低下もあり、中東の秩序再編には時間がかかる」と分析する。

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日本のエネルギー戦略の課題

日本は2022年度の一次エネルギー供給の約40%を石油に依存し、その大部分を中東に頼る。宮田氏は「エネルギー安全保障の観点から、この脆弱性は重大なリスクだ」と強調。ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー価格が高騰したように、中東危機が起これば日本経済への打撃は計り知れない。

同氏は、日本のエネルギー戦略の柱として「再生可能エネルギーの大幅な拡大」と「原子力発電の再評価」を挙げる。特に太陽光や風力は、2022年の発電量シェアが約12%と欧州諸国に比べて低く、さらなる導入促進が必要だと訴える。

具体的な政策提言

宮田氏は、政府が2023年に策定した「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」を評価しつつも、目標達成には「より強力なインセンティブと規制が必要」と指摘。例えば、2030年までに太陽光発電を現在の2倍に増やす目標に対し、送電網の整備や規制緩和が追いついていないと批判する。

また、水素やアンモニアの混焼技術の開発にも言及。これらは既存の火力発電所を活用できる点で現実的だが、コスト削減と供給網の確立が急務だと述べる。

国際協調の重要性

宮田氏は、エネルギー問題は一国では解決できないとし、国際的な協調の重要性を強調。特に、日本が議長国を務めたG7サミットでは、クリーンエネルギーへの移行と途上国支援を打ち出したが、具体的な資金メカニズムの構築が課題だと指摘する。

さらに、中東諸国との関係強化も重要だと言う。日本は長年、中東にODAを提供してきたが、近年は中国の影響力が増大している。宮田氏は「日本は技術力や信頼を活かし、中東諸国とのwin-winの関係を築くべきだ」と提案する。

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