占領下にあるヨルダン川西岸地区で25日、軍の警護を受けたイスラエルの極右議員がハンマーでパレスチナ人の記念碑を破壊した。この行動をめぐり、イスラエルの軍および議員らから批判の声が上がっている。
映像に映っていた破壊行為
インターネット上に拡散された映像には、入植者であり活動家でもあるツビ・スコット議員が、軍兵士らが近くに立つ中、西岸地区北部のパレスチナ人の村マダマにある「殉教者」を追悼する記念碑をハンマーで打ち砕く様子が捉えられていた。
「数日前、私は軍に対し、殺人者たちの村であるマダマとブリンにあるテロリストを追悼する記念碑を撤去するよう行動を求めた。しかし残念ながら、それらは設置されたままだった。そのため、私自身が現地へ赴き、撤去に向けた行動を起こした」と、スコット議員はフェイスブックに投稿し、その行為を撮影した動画を公開した。
軍の説明と批判
イスラエル軍はAFPの取材に対し、スコット議員とその側近らは「この目的のために本来の作戦から警護に回ったイスラエル国防軍(IDF)兵士と共に」同地域の「視察」を行っていたと回答した。さらに、「事前の合意内容に反し、議員らは欺瞞的かつ誘導的に振る舞い、許可なく承認された枠組みを完全に逸脱して、マダマにある記念碑の一つを破壊し始めた」と説明した。
軍によると、兵士らはこの事案を指揮官に報告。指揮官らは活動を中止するよう指示し、その後「参加者らは速やかに村の外へと誘導された」という。軍はスコット氏の行動を「極めて深刻」に受け止めているとし、「治安部隊が提供した保護を悪用し、承認された枠組みの範囲を完全に逸脱して行動した」と説明した。
政治家からの非難
10月27日に総選挙を控える中で起きたこの行為をめぐっては、右派の同僚議員の間からも非難する声が上がっている。ギドン・サール外相は、X(旧ツイッター)への投稿で「他の国会議員と同じく、ツビ・スコット氏にユダヤ・サマリアでの主権や権限はない」と指摘し、軍の統制を無視した私的制裁を非難した。「ユダヤ・サマリア」とは、ヨルダン川西岸の聖書に基づく呼称だ。
また、今度の選挙でベンヤミン・ネタニヤフ首相の対立軸として浮上している軍元参謀総長のガディ・アイゼンコット氏もこの行為を厳しく批判した。「ツビ・スコット氏の振る舞いは、国民を代表しリーダーたる姿勢を示すあらゆる者にとっての恥辱だ」とし、「ネタニヤフ首相は、ツビ・スコット氏やその同類のような無政府主義者(アナキスト)が好き勝手に振る舞うのを容認し、入植地の安全を脅かし、世界におけるイスラエルの立場を損なっている」と指摘した。
マダマ村議会のラミ・ナッサール議長はAFPに対し、村の中心部にある記念碑には、1968年の戦闘、第1次および第2次インティファーダ(パレスチナ人抵抗運動)、そして現在に至るまでに殺害された人々の名前が刻まれていたと語った。



